2017年2月10日

ヒップホップを経由してスピリチュアル・ジャズへと ~freeform jazz By uyama hiroto~


CDのみに収録された最終曲「スピン・ザ・トゥルース」がとにかく素晴らしい! 明日への希望、生きることの希望……、そんな希望に満ち満ちた曲……。CDよりも少し安いダウンロード版を買うか、CDを買うか迷っているという方、「スピン・ザ・トゥルース」を知らないのであれば、CDを買うことをおすすめします。

いや、それはそれとして、1曲目から2曲目の本作の導入にあたる部分からしてもう最高なのです。硬質なピアノの音と静かな電子音のみで構成された1曲目から2曲目にスムーズに移行し、すべての楽器が立ち上がった瞬間……、目の前に美しい景色が広がり、ウヤマ・ヒロトの3作目『フリーフォーム・ジャズ』の世界が始まります。

そして入り込んだその世界は個々のプレイヤーが発する生命力と躍動感に溢れた美しい世界。ヌジャベスと共に活動してきたウヤマらしいリリカルでメロウなジャジー・ヒップホップ……と思って聴くと、ちょっと違う。ヒップホップと言うのもちょっと違うし、ジャズと言うのもちょっと違う。では何だこれはと考えたら、一番近いのはヒップホップを経由したスピリチュアル・ジャズではないかと。

ただのBGMに堕することをかたくなに拒んでいるのかと思わせるほど、ひとつひとつの音が存在を主張するように鳴っています。魂に? 精神に? 訴えかけてくるかのよう。それがスピリチュアル・ジャズと言いたくなる所以。ガラス細工のような美しさをたたえたメロウな旋律の中に、無骨と表現できるほどの力強さを感じます。





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