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2020年5月7日

ヒップホップの楽しさを ~Impeach The Precedent By Cut Chemist~ (2018 Release)


オーセンティックなヒップホップの輝き。ジュラシック5のメンバーでもあるカット・ケミストが2018年にリリースしたこのDJミックスには、そんな輝きがあるように感じます。1990年代の香りがするファンキーでソウルフルなヒップホップが並んでいて、とても楽しい仕上がりになっています。

このDJミックスはハニー・ドリッパーズなるグループの「インピーチ・ザ・プレジデント」という曲をサンプリングした曲のみで構成したものとのこと。この曲を知っている人なら、知っている人ならではの楽しみ方があると思いますし、私のように知らない人なら、楽しいDJミックスとして聴けると思います。

2019年1月27日

このブレイクビーツ/インストゥルメンタル・ヒップホップにはおしゃれさと茶目っ気が ~THE PAST By TSUBAME~


ファンキーさとメロウさのバランスが実にいい感じ! ……といった風のブレイクビーツ/インストゥルメンタル・ヒップホップが並ぶ、日本人ビートメイカーのTSUBAMEによる作品。全7曲でトータルタイム約20分という短めの尺にまとまっているので、サクッと聴けます。

何だかひょうひょうとしていると言いますか、軽さがあると言いますか。ほんの少しの茶目っ気とおしゃれさが加味されていて、シティ・ボーイによるヒップホップ、といった趣を感じます。3曲目「RUNNING」のピアノと電子音が絡み合って生まれる流麗な音に、まずはヤラれましょう。


2018年6月13日

美しく野蛮に、なまめかしくきらびやかにビートは響く ~yummy beattape By nosnija x gad~


女性シンガーのヴォイス・サンプルの響きはなまめかしく、シンセサイザーの響きはきらびやかに。そんな風に音が鳴り響くインストゥルメンタル・ヒップホップ。ダークな雰囲気の色気のある曲が並び、DJクラッシュの音楽に近いものを感じます。

本作は日本人ビートメイカーのグリーン・アサシン・ダラーと、こちらも同じく日本人のnosnija(読み方が分からないのでアルファベットで記載)なるビートメイカー2人の共作。野蛮で、しかし美しい音楽です。



2018年1月25日

ヒップホップ・ラヴァーによるチルアウト ~laidback session By illsugi & matatabi~


レイドバックした雰囲気の中で制作された作品なのでしょうか。タイトルがレイドバック・セッションなら、音が漂わせる雰囲気もやっぱりレイドバック。イルスギとマタタビ、2人の日本人ビートメイカーの共作による作品です。

イルスギのヤサぐれたビートとマタタビのユルいビートが、両者の中間地点で交わったらこんなビートに、こんなインストゥルメンタル・ヒップホップになった……、といった趣。曲というより、セッションの一部分を切り取ったような作りです。

くつろぎを、まどろみを届けるビート……。ヒップホップが好きな人の家に遊びに行って、まあ、くつろいでくれよと言われて、そして流れてくる音楽はこういう感じなのでしょう。



2018年1月13日

日常の隙間にこんなヒップホップを…… ~Dawgs ep By TMS~


仲間と会話をしているような、ちょっとだらっとしたマイペースな感じのラップがとてもいい。……というか、好きです。このラップが力の抜けたユルいトラックによく合っています。

日本に暮らして、ごく平凡な暮らしをする、わたしのような人間の近くで鳴っているような……? 庶民の日常に寄り添うと言いますか、日常を描くと言いますか、そんなヒップホップです。過去のmatatabi氏のツイートによると、こんな作品。




2017年12月9日

今夜はこの煙たく霞むビートでまどろみましょう ~Coil Session EP By Budamunk & Yotaro~


2人の日本人ビートメイカー、ブダモンクとヨータローによるセッション音源と思われます。この2人らしい、低く沈みこむリズムと煙たく霞むウワモノのサウンドで構築された、1990年代のヒップホップの香りをまとった、ローファイなビート・ミュージックといったところでしょうか。

ジャジーでブルージーな、宙に浮かび上がるような電子音とキーボードの音。これがこじゃれていて、そして宇宙っぽくて実にいい感じ。ここで描かれているのは暗くて静かな宇宙空間か……。おだやかな、静かな夜に合いそうです。



2017年11月14日

ヌジャベス、そしてJ・ディラに捧ぐ? ~Sky [one EP for Nujabes and J Dilla] By Saito~


タイトルからしてヌジャベスとJ・ディラ。音ももちろんこの2人に近いものを思わせます。とはいえ、どちらかというとヌジャベス寄り? J・ディラ風のヨレたリズムや硬質なビートはそれほど……というか、まったくと言っていいほどありません。そんなインストゥルメンタルのジャジー・ヒップホップを展開しています。

作者はイタリア人の方のようですが、Saitoと表記してサイトーと読む……、のでしょうか……? ピアノ(キーボード)や笛のような音のフレーズなんかには和のテイストを感じる瞬間があり、イタリア在住の日本人の方なのかな?と思ったりも。



2017年11月12日

1週間の終わりにはこんな音楽を…… ~Ghosts By Soulostar~


きれいな夕焼けの中を家に帰るとき、この音楽がフィットしたら……、それはもうたまらなくロマンティックな気持ちになることでしょう。1週間の終わりに合う? アメリカのSoulostarなるクリエイターによる曲です。

音楽としてはカームとヌジャベスを結んだちょうど中間地点に置かれたような、リリカルでメロウ、そしてチルアウト感のあるジャジーなエレクトロニカ、もしくはブレイクビーツといったところでしょうか。

流麗に流れるアコースティック・ギターと女性シンガーの歌声(サンプル?)が心地よく、気持ちよく響いています。



2017年10月18日

ダム・ザ・ファッジマンクの自我の旅 ~Damu the Fudgemunk's 20 Favorite Sample Flips (FREE MIXTAPE, NOT AN ALBUM) By Damu The Fudgemunk~


さらっと一筆書き。アメリカのビートメイカー/DJである、ダム・ザ・ファッジマンクのDJミックスはそんな仕上がり。自身のお気に入りのレコード(いや、お気に入りのサンプリング・ソースと言ったほうがいい?)を使っているようです。

ヒップホップやジャズ、ファンク、ディスコなどをラフにミックスし、楽し気な雰囲気をふんわりと漂わせています。自分の好きなレコードを思いつくままに、好きなようにミックスした……のではないでしょうか。

何しろタイトルが「Ego Trip Mix, Side A」と「Side B」。Ego Tripって自我の旅という意味みたいですよ。……とは言うものの、楽しく、気持ちよく聴けます。



2017年9月24日

キュートに迫るビート・ミュージック/ブレイクビーツ ~mycatisflying By Mycatisflying~


タイトルを直訳すると、わたしの猫は飛んでいる……、はて、どういう意味なのでしょうか。意味などないのでしょうか。もしかして、英語のことわざとか。……と思いつつ、アーティスト名を見てみたら、タイトルと同じではないですか。これはどういうことかな。

作っている音楽はシューゲイザーを少し加えたビート・ミュージック、あるいはブレイクビーツといった感じ。そんな曲が並ぶ作品の中で5曲目にポコッと置かれたエレクトロニク・ポップ……! フューチャー・ソウルのテイストが混じった、この曲のキュートさに心をくすぐられました。

猫のイラストを使ったジャケットのキュートさに、5曲目のキュートさが合っているように感じます。この作品を象徴する曲が5曲目であると言ってもよさそう。そしてこの路線の曲をもう少し聴いてみたい!



2017年9月11日

そよ風のようにやさしく響く自然派エレクトロニカ ~Laby+ By KETA RA~


みんな、自然に帰ろう。山へ、川へ、野原へ……、みんな、帰るんだ。このキュートでファニーなエレクトロニカはそう呼びかけている……、かもしれません。これは言うなれば、自然派エレクトロニカ?

作者はケタ・ラ(KETA RA)と名乗る日本人ギタリスト。この作品は空想のゲーム音楽として作成したというだけあって、ピコピコと鳴る、確かに昔のゲームで使われていたような記憶がある電子音が主体になっています。

しかしそれでいてオーガニックな感触もあるのがこの作品の大きな特徴です。ピコピコと鳴る電子音と交錯する、つま弾いたアコースティック・ギターの音がオーガニックな質感を加えています。

5曲目「Morahnge Fountain」、8曲目「Beating!」で感じる、森の中を、もしくは草の上を吹き抜ける、そよ風を思わせる音……。この音がこの作品の特徴をもっとも分かりやすく表現しています。そしてこの音の気持ちよさといったら!



2017年8月22日

キュートなエレクトロニク・ポップの中には光と影が…… ~way home, Ok Wait By sundial~


あいかわらずキュート! 聴き手の心をくすぐるようなエレクトロニク・ポップでございます。アメリカの男女2人からなるサンダイアルというデュオのそんな新曲を取り上げます。

しっとりとした質感の音が際立つ「way home」、きらめく電子音が楽しそうに愉快に踊る「Ok Wait」の2曲。キュートな音の中にも、リリカルな雰囲気の歌のメロディを乗せているところが特徴であり、いいところ。明るさの中にも影がある……、といった曲に仕上げています。





2017年8月19日

イナタくもクールなビート・ミュージック ~LALA By ΔKTR~


1980年代のソウルやファンク、そしてフュージョンのテイストを散りばめ、ほんの少し古めかしい空気を漂わせながらも古くない……? いや、これはクール! イナタいディスコ・ファンクやソウル、フュージョンをヒップホップやブーム・バップに結び付けたこの音楽は、実に都会的で洗練されています。

都会の夜を疾走する車……、都会のきらびやかな夜景……。ΔKTR(何て読むのでしょうか)なる日本人ビートメイカーがここで展開するのは、そういったクールといった言葉からイメージする光景を描き出したような音楽です。イメージは夜。都会の夜景をながめつつ……といった感のある、そんな夜。

また、ディスコ・ファンク風のビコビコと鳴るベースやブーム・バップゆずりの分厚い低音域を鳴らすことにより、クールな音の中にハードボイルドな質感の音を加えています。そこがヒップホップのビートメイカーらしいところ。

全体の構成もよくて、すべての曲が流れるように進んでいきます。音は夜の闇を駆け抜けるように……。



2017年7月11日

あまりにキュートな、あまりに可憐なジャジー・ブレイクビーツ ~ jazz channel (inst​.​) By Engelwood~


engelwoodとsimon engという2人のクリエイターによる、あまりにキュートな歌モノのジャジー・ブレイクビーツを収めた『jazz channel』。本作はそのインストゥルメンタル・ヴァージョンです。インストゥルメンタルでもやっぱりキュート。

さあ、うっとりしましょう、しっとりしましょう。部屋の照明を少し落として。心地よい眠りと、心地よい一日の終わりに導いてくれます。



2017年6月24日

鮮やかな色彩に染め上げられたヒップホップ・アルバム ~001: Experiments By Lou Phelps~


1曲以外はケイトラナダがプロデュースした曲で構成された、ケイトラナダの実の弟であるMC、ルー・フェルプスによる作品。プロデューサーが異なる1曲はどの曲なのでしょうか。情報が見つからず、分かりませんでした。

プロデューサーが誰なのか分かってから聴くと、ああ、たしかに、と感じるケイトラナダらしい曲が並んでいます。弾むドラムとビコビコしたベース、宙を舞うキーボードが絡み合うディスコ・ファンク風の5曲目「ホワット・タイム・イズ・イット?」なんかが最も分かりやすい。

ドッパーン、ドッドッパーンみたいな、いかにもヒップホップらしいリズムをそれほど持ち込まず、華やかなソウルやファンクを取り込んだトラックが中心。フェルプスはそういったトラックに軽~く言葉を乗せ、いい具合に力の抜けた作品に仕上げています。ルーペ・フィアスコのデビュー作を思わせるフレッシュさも。



2017年6月14日

静謐な空間に鳴り響く和の心を持ったビートたち ~NN EP By YAMAAN~


日本人ビートメイカー/DJのヤマーンが実に清々しく、そして美しいインストゥルメンタル・ヒップホップ/ブレイクビーツを聴かせていました。日本人らしい和の心を感じる6曲からなる作品です。

太く柔らかいビートの上に、きらびやかな電子音を散りばめていくというのが基本的な曲の作り。ビートの上に静かに電子音が舞い落ちていくさまは、日本庭園の池の上に花びらが落ちて、水面にゆっくりと波紋が広がるのを見ているかのよう……。そんなところに日本人らしさを感じます。

また、繊細に重ねられた音の層に耳を傾けると、そこにも日本人らしさが。聴いていると、身を清められる感覚を覚えます。



2017年6月7日

あまりにキュートな、あまりに可憐な、歌の世界 ~jazz channel By engelwood, simon eng~


ジャズのテイストを含んだあまりにキュートなピアノとギターの響きに、少女の面影を残したあまりに可憐な女性シンガーの歌声に……、さあ、うっとりしましょう。こんなにキュートな歌を聴かされたら、心は夢の中に行ってしまいます。

作者はengelwoodとsimon engという2人のアメリカ人男性のよう。共作というわけですね。ジャジーなブレイクビーツの歌モノ、もしくはソフト・ロック?といったような趣の音楽を展開しています。それぞれの曲にはゲストのシンガーを起用していると思われます。

この作品に収められた曲たちが構築するのはキュートにデコレーションされたお菓子のような愛らしさと、子守歌のようなおだやかさが混じり合った世界。そこに足を踏み入れると、そこには夢の入り口が……。



2017年5月11日

弾むビートの上でたくましく輝く歌声 ~EAST By IVY SOLE.~


この歌声を聴いていると、どうしたってジョージア・アン・マルドロウやラプソディーを想起してしまいます。力強くしなやかに、そして澄み切った……、そんな歌声。アメリカのアイビー・ソールなる女性シンガーの作品です。

歌声とは書いたものの、歌うというよりもほぼラップ。弾力のあるビートの上に軽くいなすように言葉を刻み付けていきます。甘めのソウルときらびやかなR&Bを内包したヒップホップといった趣のトラックもよい感じです。



2017年4月28日

モクモクと煙るビートが導く地下の世界 ~NICKELMAN_MIX By NICKELMAN~


日本人ビートメイカーのニッケルマンがニューヨークのレーベル、ダーティ・テープスから送り出した、ダーティでダスティな美しいビート。そのビートが導く先はアンダーグラウンド。アンダーグラウンド・ヒップホップってどういうものなのかと聞かれたら、こういうのですよと言いながら差し出したくなる音楽です。

タイトルが『ニッケルマン_ミックス』というだけあって、DJミックスの手法で作った作品なのでしょうか。整理されないほどに様々な音が混ざり合い、この作品で表現されているのは混沌かと、そんなことを思わせます。





2017年4月22日

心なごむハウス・ミュージックの世界にようこそ ~Farewell My Little Viking By Wizard of Loneliness~


どうやってもまとわりついてしまうB級感、どうやってもぬぐい去ることのできないファニーな雰囲気……。何なのでしょうか、この作品にあるそういう感覚は。ジャケットからして何なのでしょうか、この少年は。

ウィザード・オブ・ロンリネスと名乗るアメリカ在住のクリエイターによるこの作品の魅力は、そういったB級感とファニーな雰囲気にあると思います。陽気な雰囲気を振りまきながら、リリカルな雰囲気の旋律も随所に挟み込む、めくるめくB級ハウス・ミュージックの世界を見せてくれています。

ビートダウン・ハウスとディスコ、ローファイなヒップホップを混ぜ合わせた、地下のクラブでDJが鳴らしてもよさそうなハウスを展開しつつも、庶民的な感覚があるのが不思議。公民館で鳴っていてもよさそうですよ、これは。聴いていると、心がなごみます。B級という言葉はもちろん、ホメ言葉です。