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2022年12月30日

導かれた先……、それはどこであろうか ~caroline By caroline~ (2022 Release)


はたしてこれはフォークなのか、ポスト・ロックなのか、はたまた別のものなのか……。大きな謎を残したまま終わるこの作品。即興音楽集団と言われているイギリス・ロンドンのバンド、キャロラインのデビュー作です。

フォークっぽい歌を聴かせながらポスト・ロックに流れ込み、アコースティック・ギターでシガー・ロスの曲を演奏しているかのごとき音楽へと展開し、といった感じ? メンバーがそれぞれの楽器を自由に思い思いに演奏して、大きなキャンバスに壮大な絵を描いていくような演奏を聴くことができます。

今年(2022年)の年末に聴いて、どこに着地するのか分からない、不思議な空間に連れて行くミステリアスな雰囲気にヤラれたので取り上げました。聴き進めていってたどり着いた先にあったのは巨大な空洞だった……。





2022年11月19日

静かな夜に寄り添うように ~Violet By Robohands~ (2022 Release)


聴いていると、しっとりとした質感の音がたゆたいながら静かに着地していく様を見ているような気持ちになります。夜の静寂に寄り添う、夜の闇に溶け込む心地よい音楽です。淡々と……、心地よい音が淡々と続いていきます。

イギリスのマルチインストゥルメンタリスト、ロボハンズの作品で、これが通算4作目。ここで基調としているのはジャズ、ダウンテンポ、アンビエント、ポスト・ロックあたりでしょうか。静かな夜に、ぜひどうぞ。

2022年11月6日

あたたなか日差しのもとでまどろみながら ~Loris S. Sarid By Seabed​-​Sunbath~ (2022 Release)


あたたかな日差しが降り注ぐ田園へようこそ、という言葉が似合いそうな心地よい音楽です。スタイルとしてはニューエイジ、もしくはアンビエントといったところでしょうか。作者はロリス・S・サリッドというスコットランド・グラスゴーで活動するクリエイター。

ピアノ、カリンバ、ホーン、ストリングスなど様々な音が明確なメロディを描くようでもあり、しかしただ鳴っているだけでもあるようにしながら、おだやかな雰囲気を作っています。ポコポコとなるリズムの音もかわいらしい。そんなふうにして心地よいまどろみを届けてくれます。

2022年10月25日

美しい情景を描くミニマル・ハウス ~Sam Prekop and John McEntire By Sons Of~ (2022 Release)


ポスト・ロックの大物2人――ザ・シー・アンド・ケイクのサム・プレコップとトータスのジョン・マッケンタイア――の共作である本作は何とも美しいミニマル・ハウス! この2人による作品ということが分からなければ、エレクトロニック・ミュージックのクリエイターの作品と思うかもしれません。

ゆったりとして、牧歌的でもあり、ダンサブルなところはほとんどなし。そういう意味ではミニマル・ミュージックと呼ぶべきでしょうか。きらめくような電子音と転がるようなリズムが美しい情景を描いていきます。仕事や作業をするときのBMGに合いそうな気がします。

2022年10月13日

南国の夜のおだやかな風に吹かれて ~Here Alone By Matthieu Beck~ (2022 Release)


ほがらかな雰囲気のユルいダブ、もしくはポップなバレアリック? 聴いていると、ほんのりとあたたく、湿り気のある南国の夜の風に吹かれている感覚を覚えます。気持ちはおだやかになり、心地よくトリップして、何かをすることがおっくうになってしまいそうです。

作者はマシュー・ベックというイギリスのクリエイター。落ち着いたリズムのドラムの上でキーボードやフェンダーローズ、フルートなどの楽器の音が気持ちよさそうに踊っています。リラックスのひとときにぜひどうぞ。

2022年9月22日

自由なリズムと幸福なメロディ ~Magic Pony Ride By µ-Ziq~ (2022 Release)


イギリスのエレクトロニック・ミュージック・シーンのヴェテラン、マイク・パラディナスの作品。ドラムンベースやジャングルの自由奔放なリズムを打ち鳴らしながらテクノへ繋がっていくような内容に仕上がっています。メロディアスで、時にドラマティックでもある展開を存分に繰り広げていて、これがもうたまりません。

暴れるリズムの荒々しさがあり、美しく流れるメロディがあるエレクトロニック・ミュージック。ほっこりとした気持ちに、あるいは切ない気持ちに、聴き終わったときにそんな気持ちになります。1997年リリースの『ルナティック・ハーネス』という作品の続編と見ていいようなので、『ルナティック~』も併せてどうぞ。

2022年8月21日

テクノとアンビエント、そしてドランベースを重ね合わせて描く美しい音響 ~Concealer By Relaxer~ (2021 Release)


野蛮だけど美しい。この作品を聴いて、デトロイト産のテクノを聴いたときに感じたそんなことを思い出しました。ダークな色彩の美しい音響、そして刺激的なリズムが全体を彩る本作は古のテクノを愛する人も、フットワークあたりを好む人も好きになりそう。

ダニエル・マーティン・マコーミックというアメリカ人クリエイターがコンシーラーなる名義で2021年にリリースした作品。テクノとアンビエントの間を行き来しながら、ドラムンベースを挟み込んだような曲が並びます。夜中に家で一人で聴くといい感じです。

2022年8月13日

甘くロマンティックなジューク/フットワーク ~Signals In My Head By DJ Manny~ (2021 Release)


ジューク/フットワークにカテゴライズされる音楽はもっと猥雑なものかと思っていましたが、DJマニーによるこのジューク/フットワークの作品にはソウルやR&Bのような甘く、ロマンティックなムードがあります。それがこの作品の特徴でしょう。

作者のDJマニーはシカゴ出身のクリエイター。ここではジャングルやドラムンベースに通じる刺激のあるリズムと色気のあるハウスの香り、そして女性ヴォーカルのなまめかしい歌声を重ね合わせています。

2022年7月15日

甘くメロウなギター・インストゥルメンタル、またしても再び ~COVERS 11 By Justice Der~ (2022 Release)


ローファイなアンビエント?とでも言いたくなる音楽です。ローファイと表現されるギター・ロックを演奏しているバンドがアンビエントを作ったらこんな感じになるかも……、そんなことを思わせます。

作者はジャスティス・デアというアメリカのクリエイターで、『カヴァーズ・10』の続編となる作品です。アンサンブルの中心にある柔らかな響きのギターと丸みを帯びたドラムの音がおだやかに、のんびりと重なり合い、朗らかな表情を見せています。

2022年7月10日

ゆっくりと溶け出していく美しい音の粒 ~Tail of Diffraction By Minamo & Asuna~ (2022 Release)


ゆったりとおだやかにたゆたうように、まどろむように、そして溶け合うように……。そんなふうにして流れていくアンビエント/ドローンを聴くことができます。杉本佳一、安永哲郎という2人の日本人からなるデュオであるミナモと同じく日本人のアスナによる作品です。

電子音とピアノやギターなどの音が長い時間をかけてゆっくりと混ざり合いながら、美しい音を描いていきます。流れていく音に身をゆだね、別の世界に行きましょう。

2022年6月14日

スピリチュアライズドの音楽はすべて美しかった、そしてこれも美しい ~Everything Was Beautiful By Spiritualized~ (2022 Release)


イギリスのロック・バンド、スピリチュアライズドの9作目のアルバム。1作目のアルバムをリリースしたのが1992年で、これは2022年リリース。ここでも変わることなく、ロック、サイケデリック、ブルース、ゴスペル、ソウルなどが混然一体となって押し寄せてくるような音楽を展開しています。

ほとばしるエネルギー、そしてあふれ出るエネルギー、起伏の大きいドラマティックな曲展開をこれでもかというぐらい堪能できます。これこそスピリチュアライズドの世界といった趣き。このバンドの音楽を聴いたことがない人もぜひ、というか、聴いたことがない人こそぜひどうぞ。

2022年6月8日

美しいハウス・ミュージックの輝きがここに ~Love Of Plastic By Shinichi Atobe~ (2022 Release)


美しく端正に、そして力強くしなやかに躍動するディープ・ハウス、あとはダブ・テクノを織り交ぜて……、といった趣きの作品。突き抜けたような明るいトーンの曲で始まり、深く沈み込んでいく曲が並ぶ後半へと至る流れがとてもよく、ぐいぐい引き込まれていきます。

作者は日本人クリエイターのシンイチ・アトベ。ダンサブルな展開があり、まどろむような心地よい展開があり、思索にふけるような展開があり、といったふうにしていい旅をさせてくれます。美しさとまろやかさ、力強さを兼ね備えた素晴らしい作品です。

2022年5月31日

選び抜かれた音が構築していくダンス・ミュージック ~Consequences By Thor~ (2020 Release)


アイスランドのクリエイターであるThor(ソーと読むのでしょうか?)によるダブ・テクノ集。じっくりと練り上げていくように、じわじわと展開する様子がとてもいい! 厳選された音だけで構築されたダンス・ミュージックとでもいうような趣を感じます。

Thor以外の名義での曲も収録したレア・トラック集という作品。ここにあるのがヴェテランの匠の技というものでしょうか。

2022年5月25日

静かに響く美しい電子音 ~rabbit ears By tomotsugu nakamura~ (2021 Release)


明確なメロディがあるようで、しかし、ない……? ただの音なのか、メロディを奏でるのか、どちらとも言えない気持ちのいい電子音が続いていく、そんなアンビエント/エレクトロニカを展開しています。日本人クリエイターのナカムラトモツグによる作品です。

全体にゆったりとしたおだやかな空気が流れます。音に耳を傾けるのか、あるいはそうではなくて、ただ流しておくのか……。どちらにしても、ただ流しておくだけで、その場を心地よい空間にする音楽です。

2022年5月5日

くつろぎの境地へと誘われ ~Where The Round Things Live By Loris S. Sarid & Innis Chonnel~ (2022 Release)


リゾート感とリラックス感があふれる、たまらなく心地よい音楽。気持ちはくつろぎの境地へ……、そんな趣きがあります。ほわほわと浮き上がる電子音とスティールバンのような音をアンサンブルの中心に置いた、エレクトロニカやアンビエントにダブを少々加えたような音楽を展開しています。

作者はLoris S. SaridとInnis Chonnelというイタリア出身の2人の人物。本作のリリース元のレーベルである12th Isleはスコットランドにあるそうです。実験電子音楽のレーベルのようですが、ここには実験的といった言葉から連想される小難しさは皆無。気持ちよさそうに流れる音の波におぼれましょう。

2022年5月3日

どんな天気であれ、美しい音を ~Whatever The Weather By Whatever The Weather~ (2022 Release)


イギリスの女性クリエイターであるロレイン・ジェイムズによるホワットエヴァー・ザ・ウェザー(どんな天気であれ、という意味)名義の作品。曲名がすべて温度になっていて、曲名ごとに温度の高低はありますが、どの曲からも冬の冷たく澄んだ空気のような温度を感じます。

ここで中心になっているのはアンビエントとエレクトロニカ。そこにドラムンベースやジャングルを散りばめた音楽を展開しています。リズムに動きがあっても落ち着いた雰囲気は変わらずに、しっとりとした質感の澄み切った美しい音が流れていきます。それはジャケットの世界に流れる空気のような音です。

2022年4月19日

おだやかな空間に流れる電子音楽 ~Cheeky Speaker By Lucky & Easy~ (2021 Release)


ほの暗く、それでいて牧歌的な雰囲気があるのが特徴。エレクトロニカやアンビエントからドラムンベース、はたまたディープ・ハウスやデトロイト・テクノあたりまで……、手を伸ばしたような音楽を展開しています。PubというスコットランドのアーティストのLucky & Easyという名義による作品です。

ゆったりと流れる時間の中で上述した電子音楽たちが折り重なり、目の前に現れては消えていきます。過去の曲を集めたコンピレーションということが関係してか、それぞれの曲が様々な表情を見せてくれます。

2022年3月20日

ワイルドなリズムの中に甘さを加えて ~City Stars By DJ Hank~ (2022 Release)


UKガラージとフットワークを混ぜたワイルドな音楽を中心にしつつ、ソウルやR&Bから引っ張ってきたような色気や潤いを加えています。アメリカ・シカゴ在住のクリエイター、DJ Hank(ハンクと読むのでしょうか?)による作品です。リリースはイギリスのレーベルであるハイパーダブから。

ワイルドさの中に甘さがあるところが特徴。そしてそれは2021年に同じくハイパーダブからリリースされたロレイン・ジェイムズの『リフレクション』にも通じるなと思ったり…。

2022年2月19日

安息の地へと導くおだやかなビート ~Resurrection By Linn Mori~ (2021 release)


日本人ビートメイカーのリン・モリが2020年にリリースした『デジタル・チャーチ』のリミックス版。この人らしいおだやかさと心地よさがあるのはもちろんこと、平和への祈り……、とでも言えそうな崇高な思いが込められているような趣さえ感じます。

インストゥルメンタル・ヒップホップにカテゴライズされると思いますが、エレクトロニカやダウンテンポ、さらにはニュー・エイジといったあたりにまで広がる音楽を展開しています。この作品の前章にあたる『デジタル・チャーチ』、『メタモーフォシス』といった過去の作品も併せて聴きましょう。

2022年2月7日

さわやかな空気をまとったアンビエント作品 ~Drives To The Beach By Turn On The Sunlight~ (2020 Release)


きらびやかな電子音の渦の中をサックスの音が気持ちよさそうに浮遊し、そして静かに着地する……、そんな作りのアンビエントが並んでいます。ロサンゼルス音楽シーンの重要人物であるカルロス・ニーニョとジェシー・ピーターソンからなるユニット、ターン・オン・ザ・サンライトの作品です。

澄み渡った空を思わせるさわやかな音たちが周りの空気に溶け込んでいくかのよう。その音に身を任せましょうか。天気のいい休日の午後に流しておくと気持ちよさそうです。