2017年12月27日
才女たちの集い ~Levitating By Xenia Rubinos, Sammus, Olga Bell~
なまめかしくウネり、やわらかく弾む、ゆったりとしたテンポのビートの上にサラッと乗るラップと歌。妖しく響く電子音を基調にしたトラックはドリーミーとも、ミステリアスとも形容できそう。ヒップホップ、ベース・ミュージック、フューチャー・ソウルといったあたりをミックスしたような音楽です。
セニア・ルビーノス、オルガ・ベル、Sammus(すいません、この方だけ読み方が分かりません!)という、3人の女性のコラボレイトによる曲。3人ともクリエイターであり、プロデューサーであり、シンガーであり、ラッパーでもある……、つまり何でもできる……、ようです。
それぞれがソロでいくつかの作品をリリースしていて、オルガ・ベルはダーティー・プロジェクターズのメンバーでもあるというのだから、これはもう才女の集まりと言っていいでしょう。
この曲のミステリアスな雰囲気が、まだ本気出してないよ、みたいなことを言っているように感じます。もっといい曲を隠しているとか、そんなことがありそう。
2017年12月25日
クリスマスはこのアルバムを聴かなきゃ! ~a white album By akiko~
2017年のクリスマスがあと数時間で終わるというのに、クリスマスに関する作品の記事をひとつも書いていないなんて、なんてことだ! というわけで書きます。クリスマスに聴く音楽は今年も来年も再来年も、そしてその先も……、これでしょう。日本人ジャズ・シンガー、akikoの『a white album』!
セクシーでしかもキュートなakikoの歌声にメロメロになるのはもちろんのこと、雪の上を軽快にすべるような演奏もこれまた素晴らしい。たまらなくハッピーなヴァイブスに溢れた、とびきりハッピーなクリスマス・アルバム! いまこの記事を読んでいるみなさん、よいクリスマスを! メリー・クリスマス!
2017年12月23日
夏の夕暮れを、そして星空を描く、美しいビート・ミュージック ~Are You Anywhere By submerse~
夏のうだる暑さに疲れた体にじんわりとしみ込んでくるような、体を癒すゆったりとしたテンポのビート。暑さにヤラれ、ぐで~っとしたかのような、やや気だるいムードをまとったこのビートが実に心地よく響いています。
作者は日本在住か、ひんぱんに日本に来ているかしている、イギリス人ビートメイカーのサブマース。これまでと変わることなく、ヒップホップを基調にして、エレクトロニカやアンビエント、ベース・ミュージックのテイストを少しずつ散りばめた音楽を展開しています。
この音楽が冬の寒い日でも夏の夕暮れ時、あるいは夜を想起させるのは良質のアンビエントに通じる清涼感のある音があるからでしょう。夏の夜に吹く、少しひんやりとしていて、さわやかな風を……、思わせる音が鳴っています。
また、きらびやかな色合いの美しく輝く電子音は夏の星空のよう。ボーっと聴いていると、いつの間にか心はどこかへ……。そんな具合にチルアウト感もたっぷりです。
2017年12月21日
この弦楽器の鳴り方の美しさ……、これぞフォークトロニカの真髄か…… ~New Energy By Four Tet~
繊細で美しく、そして穏やか。そんなフォー・テットが帰ってきました。あたたかくやさしく、脈を打つようなリズムの上に、繊細に絡み合う弦楽器の音が乗るエレクトロニカ、もしくはアンビエントといった風の音楽を展開しています。これがアルバムとしては通算9作目となる作品のようです。
4つ打ちのリズムも取り入れていますが、それほどダンス・ミュージックに寄ることもなく、あくまでもゆったりとおだやかに。しっとりとした質感の心地よい音がずっと続いていきます。曲の並び、構成も素晴らしく、美しい世界が広がっています。
2017年12月18日
アメリカ西海岸アンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンのツワモノ3人が帰ってきました ~The Turn Up By MED, Blu & Madlib~
MCのメッドとブルー、ビートメイカーのマッドリブによるユニットのEP作品。なかなか出会うことができなさそうな、鬼才3人、我が道を行く……といった趣のヘンテコな音楽を展開しています。
モクモクとしていてザラッとした質感の音、粗く太いビート、中近東あたりの雰囲気を感じるメロディ……。いかにもマッドリブといった感のある、そんな音たちで構成されたトラックはワールド・ミュージック・ミーツ・ヒップホップといったところでしょうか。
2曲目「ジャングルズ」でラップ(トースティング?)をしているブラック・シェイクスピアは、スライ・アンド・ロビーのベーシストであるロビー・シェイクスピアのいとこのようです。
ブラック・シェイクスピアのラップが入ると、曲の雰囲気がダンスホールっぽくなるので、それがこの音楽を説明するときにワールド・ミュージックという言葉を使いたくなるところでもあります。
2017年12月15日
一日の終わりはこの淡いエレクトロニカでしっとりと…… ~three days off By mr. hong~
mr. hongなるアメリカ人クリエイターによる、夢心地の世界に導くドリーミーなブレイクビーツ、もしくはエレクトロニカ。ドラム、ベース、ギター、ピアノの音、そして女性シンガーの歌声が夢の中で鳴っているかのようにボンヤリと、静かに淡く響いています。
音からは、雑に扱ったら、この心地よい夢の世界が終わってしまう……、なんてことを書きたくなるほどの繊細な感触を覚えます。これをさらりと聴いたら、部屋の照明を落として、そして眠りましょう。
2017年12月11日
甘美なドリーム・ポップの誘惑 ~Willowbank By Yumi Zouma~
冬はとろけるように甘いロマンティックなドリーム・ポップとして、夏は透き通るような清涼感のあるさわやかなドリーム・ポップとして、どの季節にも楽しめそう。ニュージーランド出身だったんですね、このバンド、ユミ・ゾウマ。この作品が2作目のアルバムのようです。
こざっぱりとしていて、こじゃれた、クールな雰囲気。すっきりと甘く、リリカルでノスタルジックな歌のメロディ、汚れのない真っ白い雪のような電子音を主体にしたバックのサウンド……。いやはや、これらがもう最高です。
そして透明感のあるアンニュイな雰囲気を漂わせる女性シンガーの歌声……。これがまたいい! この声が気持ちをトロけさせます。この音楽を、この歌声を聴いている間には安息が……。日々のはざまで心が安息を求めた時はこの作品を聴きましょう。
2017年12月9日
今夜はこの煙たく霞むビートでまどろみましょう ~Coil Session EP By Budamunk & Yotaro~
2人の日本人ビートメイカー、ブダモンクとヨータローによるセッション音源と思われます。この2人らしい、低く沈みこむリズムと煙たく霞むウワモノのサウンドで構築された、1990年代のヒップホップの香りをまとった、ローファイなビート・ミュージックといったところでしょうか。
ジャジーでブルージーな、宙に浮かび上がるような電子音とキーボードの音。これがこじゃれていて、そして宇宙っぽくて実にいい感じ。ここで描かれているのは暗くて静かな宇宙空間か……。おだやかな、静かな夜に合いそうです。
2017年12月4日
アンダーグラウンドの世界から聴こえてくる妖艶なビートにトリコに…… ~GOODSMELL.TΔPE By GREEN ASSASSIN DOLLAR~
いやはや、さすがの安定感。30分に満たないわりと短い尺のこの作品でも、期待通りの音を聴かせてくれています。とろけるほどの甘さのソウルとR&B、そしてアンダーグラウンドの香りをいっぱいに吸い込んだヒップホップが融合した、なまめかしい音楽にメロメロなのです。
日本人ビートメイカー、グリーン・アサシン・ダラーの作品。インストゥルメンタルのみで構成されています。地下のダンス・フロアから聴こえてくるような妖しく響く電子音、妖艶にウネるビート……。ここにあるのはそういう音。
2017年12月3日
ダブとヒップホップが描く漆黒の闇、その闇の先には感動が…… ~Budabrose 2 By Budamunk & Fitz Ambrose~
ダブから抽出した重たいビートが深く深く沈む……。ヴォイス・サンプルやシンセサイザーの音はぼんやりと現れ、淡くにじむように、なまめかしく響き、そして消えていく……。デジタル・ダブと無骨なヒップホップがくっついたようなインストゥルメンタルを展開する、ブダモンクとフィッツ・アンブローズによる作品です。
無骨で男臭く、野蛮な雰囲気の中に、ソウルやR&Bから持ってきたような甘さと色気のある音がうっすらと混ざっていて、それがもうたまりません。健康的な色気とはこのことでしょうか。あまりにセクシーな音にクラっと……、してしまいそうです。
才能ある2人のビートメイカーが組んだ作品なのだから、いいに決まってるだろうと思って聴いたら、やっぱりよかった。最後の曲「wavery」で登場するスラックのラップは暗がりに灯る、あたたかい灯りのようで感動的。
感動……という言葉が適切なのかどうか分からないなぁと思いつつも、これ以外の言葉が見当たらないので、こう書いておきます。とてもいい終わり方です。
2017年12月1日
美しく揺らめきながら宇宙をさまよう、ラップと歌、そしてビート…… ~Every Eye By Ivan Ave~
酩酊するラップと歌が揺れる……。音もまるで酔っぱらったかのように、なまめかしくセクシーに揺れる……。何なのでしょうか、この心地よい酩酊感は。この感覚に酔いましょう。MCというべきか、シンガーというべきか、ちょっと迷う、ノルウェーのイヴァン・アヴェによる作品です。
1980年代風のイナタいソウルやディスコ(ディスコ・ブギー?)と甘口のR&B、それからユルめのヒップホップとコズミックなジャズを少々?混ぜ合わせた音楽を展開しています。トロンとしていてホワンとした、そんなユルくトロけるグルーヴ、ラップと歌が酔わせてくれます。
プロデューサーとして参加したのはマインド・デザインやデイム・ファンク、ケイトラナダなどなど。ちょっと聴けば、ああ、分かる気がする、この人がプロデュースしている気がする、と思うのではないでしょうか。イナタいのに、しかしオシャレという絶妙のバランスのトラックに仕上げています。
フリースタイルであるかのようにラフなアヴェのラップと歌は、そのトラックにユルっと乗り、ゆるやかに流れていきます。さあ、みんな、ユルくやろうぜーと言っているかのように。
登録:
投稿 (Atom)