2016年9月28日
ILL-SUGIによる未発表のビートを使った音源 ~back to rock (UNRELEASED Beats) By ILL-SUGI~
サイケデリック・ロックの風味を帯びたソウルフルなブレイクビーツ……、とでもいった感じでしょうか。日本人ビートメイカー、ILL-SUGIがこれまでにリリースしてこなかったビートで作ったもののようです。
ILL-SUGIらしい粒の粗いガサついた音はやっぱり魅力的。あたたかく色気のあるソウルフルな音と、サイケデリックな色彩を帯びた音の重なりっぷりもいい感じ。約18分の短い音源なので、サラッと聴けます。
2016年9月25日
ヌジャベス・チルドレンによるジャジー・ヒップホップ ~"Unreleased" Beat Tape By Pabzzz~
ヌジャベス好きはチェック!と言わなくてはならないジャジー・ヒップホップ。つまみ食いのように飛ばしながらでもいいので、とりあえず聴いてみてください。ヌジャベス好きの心の琴線に触れるところがどこかにあるはず。
フランスのPabzzzなるビートメイカーによる音源で、これまでにリリースしなかった音源を繋いで作ったもののようです。ヌジャベスゆずりのリリカルなメロディを奏でるピアノやフルートの音が至るところから聴こえてきて、心をつかまれる瞬間が何度も訪れます。
2016年9月24日
妖しく暗く輝くヒップホップ ~Paradigm Shift By Varth Dader & Philippe Edison~
最近知ったアメリカのPhilippe Edisonなるマルチ・インストゥルメンタリスト。ジャズとヒップホップ、ソウル、エレクトロニカを混ぜ合わせたような、ロバート・グラスパーに通じる音楽を展開していて、これがかっこいい。
ところが、ネットで検索してもそれほど情報が出てこないため、どういうアーティストなのか詳細が分からず……、いま実に気になる存在です。
『Paradigm Shift』は2015年9月にリリースされた、Varth DaderというMC(?)との共作のよう。どっしりとした硬質なリズムの上を暗くきらめく電子音が浮遊するトリップホップっぽいトラックの曲が並んでいます。ラップが入っているものとインストがそれぞれ6曲ずつ、それとダブヴァージョンが1曲で全13曲という構成です。
妖しくダークに輝くトラックはとても魅力的。他にもいろいろな作品をリリースしているようなので、今後、追いかけます。
2016年9月19日
雨の日にはこんなしっとりとしたインストゥルメンタル・ヒップホップを…… ~Monothrope By Mono:Massive & Philanthrope~
あー、いいですね、これ! 今日のような雨の日に何だかよく合う、しっとりとした質感の音を基調にしたインストゥルメンタル・ヒップホップです。ゆったりと穏やかに鳴らされるピアノの音が静かに降る雨のように響いています。
Mono:Massive、そしてPhilanthropeなる2人のオーストラリアのビートメイカーによる作品。リリースはチルアウト感のある素晴らしいインストゥルメンタル・ヒップホップを数多く送り出しているドイツのレーベル、レディオ・ジューシーから。
ジャズとソウルをヒップホップに適度に注ぎ込み、ダウンテンポに寄せた……、レディオ・ジューシーらしい内容に仕上がっています。ギターやピアノ、ホーンの音が心地よく鳴り響き、古いレコードにあるようなあたたかい音が終始体を包み込みます。
2016年9月18日
ビートメイカーによる音響系 ~Bellwoods By Yagi~
ジャケットの淡い色合いを音で表現したかのごとき、淡く霞むように響くピアノやギター、そしてヴォイス・サンプルが重なり合う音響系のブレイクビーツ集……、といった感じでしょうか。日本人ビートメイカー、Yagiの作品です。
ビートメイカーが作る音楽と聞くと、ヒップホップやビート・ミュージックを連想しがちですが、ここにはそこからは離れた、音響系あるいはエレクトロニカに近い音楽が並んでいます。
あたたかな陽光に包み込まれるような感覚を覚える、ほっこりとした穏やかさを湛えた楽曲が6曲。なかでもビートメイカーによるフォーク・ソングとでも言えそうなおもむきの3曲目「Night」がいい!
2016年9月15日
ヒップホップ/ブレイクビーツを超えて、オーガニックでドリーミーなエレクトロニカ/ダウンテンポへ…… ~Unity By AJMW~
エレクトロニックでありながらオーガニックな音。それも深い森の中であるとか、静かな海であるとか……、そういった自然の中に溶け込むような音。そんな質感の音を基調にしたジャジーなインストゥルメンタル・ヒップホップ……かと思いきや、それだけでもない。
というのは、このAJMWなるイギリスのビートメイカーはヌジャベスに通じるリリカルなジャジー・ヒップホップを作る人だと思っていたのですが、この作品にはジャズやソウル、エレクトロニカやダウンテンポあたりのテイストをすくい上げて作ったブレイクビーツ……といったような楽曲が並んでいます。
ヒップホップというより、エレクトロニカとして聴く方がしっくりくる作品。ワープやニンジャチューン、トゥルー・ソウツなどといったレーベルに所属するエレクトロニカ系のアーティストに通じる音楽を展開しています。
そして聴き手を現実世界から引き離していくような、ふんわりとしたドリーミーな雰囲気が全編に行き渡っていて、それがもうたまらなくいい。しっとりとした潤いのある音、つややかな輝きのある音が時間の進み方を遅らせるかのように、ゆったりと流れていきます。
2016年9月14日
まどろみに導く心地よいビート、再び…… ~36 minutes live mix By Code74 a.k.a hamazin~
もう、おぼれましょう、この心地よいビートに……。おぼれた先にあるのは心地よいまどろみの世界のはず。そんな音楽をCode74 a.k.a hamazinなる日本人クリエイターがまたしても届けてくれました。
音楽としてはエレクトロニカや音響系に通じる音から、1990年代のヒップホップを思わせるあたたかみのあるソウルフルな音までをひっくるめたような……といった感じのチルアウト感のあるヒップホップです。
そして使っている曲が自身で作ったものなのか、だれかのオリジナル曲なのか、はたまたリミックスなのか、といったことはよく分かりません。……というより、この心地よい音楽を前にしてそんなことを言うなんて、それこそヤボってものですよ。
ヒップホップらしい太いビートが中心になっていて、ファンキーな展開があり、ワイルドなラップがあり、なかなかに豪快なスクラッチがあり、それでいて心地よいあたたかさは失わない。このバランス感というのか、さじ加減というのか、それがもう素晴らしい!
1990年代の黄金期のヒップホップを経験した人から、昨今のビートミュージックが好きな人、それからこじゃれたブレイクビーツに酔っている女子までが楽しめる音楽ではないかと、そう思っております。無料でダウンロードできるので、皆さん、ダウンロードしましょう。
2016年9月12日
アンダーソン・パークのアットホームな雰囲気のライヴ映像 ~Anderson .Paak & The Free Nationals: NPR Music Tiny Desk Concert~
アンダーソン・パークが来日するというのにチケットのこととかをチェックするのを忘れていましたよ……。チケットはソールドアウトでした。日程を見てみたら行けなさそうだったので、まあ、いいか……と自分をなっとくさせておきます。
NPRミュージックのユーチューブ・チャンネルにそんなアンダーソン・パークのライヴ映像がアップされていました。余裕シャクシャクで演奏する感じがとてもかっこいい。ヒップホップ好きの人はもちろん、ジャズ好きの人もぜひ。
2016年9月11日
夏の終わりのアーバンな雰囲気のディスコ・ファンク、ヒップホップ、ソウル、R&B…… ~cosmopolyphonic x Jamma-Dee - guest mix vol.41 - By cosmopolyphonic~
夏の暑さで溶けてしまったチョコレートのような甘さ、ほんの少しの湿り気を含んだ生あたたかい風……、そういったものを感じさせる、夏の終わりに合いそうなDJミックス。特に夏の終わりの夕暮れ時? そんなときに聴くのが一番よさそうです。
日本のポッドキャストであるコズモポリフォニック・レディオがアップしているDJミックス・シリーズのもので、ロサンゼルスのJamma-Deeなるプロデューサーがミックスしています。
1980年代っぽいディスコ・ファンク、ヒップホップ、ソウル、R&B、ニュージャックスウィング……といったような曲が中心。都市生活者向けの音楽とでも言えそうなアーバンな雰囲気、そして1980年代の音楽を思わせるイナタさを漂わせています。
ダンサブルなようでいて落ち着いているので、家でまったりしながら聴くのにもちょうどいいと思います。今年の夏のよかったことも悪かったこともすべて振り返りながら聴きましょう。
Tracklist:
1. Sa Deuce - Born In'
2. interlude
3. New Version Of Soul - 66 Mello (edit)
4. Sybil - So Tired Of Being Alone (Johnny Jay Mix) (edit)
5. Altitude - I Can’t Resist
6. Worl-A-Girl - I Can’t Wait (Flex Riddim)
7. interlude
8. Doctor Woos - Soul In Paradise (Cool Summer Mix)
9. Joi - Joystick
10. Bas Noir - Addicted 2 Luv
11. Oval Emotion - Reach Out
12. Gee Morris - Behind Closed Doors
13. D-Shot - Wheels (feat Mugzy & E-40)
14. Alexander O’Neal - If U Let It
15. A.J. Quest - Free
16. Renaizzance - Intimate Thoughts (edit)
17. Kym Sims - I Found Love (Jamma’s Mood Mix)
18. Red Bandit - Please Don’t Cry
19. Ghetto Queen Interlude
20. Funk Mobb - Millasville Playa
21. Maureen - Thinking Of You
22. Young Dru - I Wanna Smoke With You
23. Phil Fearon - What Do I Do (J.D’z Carnaval Flip)
24. Nu Colours - Come Go With Me
25. Treva - Talk Line
26. Society Of Soul - Wind
27. ???- Anything(Baby I Will Do For You)
28. Outro
2016年9月9日
夜露に濡れたしっとりとした質感のビートが心地よい ~Saikei Collection Vol. 12 By saikei collective~
フィリピンのレーベル、栽景コレクティヴのコンピレーション第12弾。音量をしぼった古いラジオから聴こえてくる深夜の放送……とでも言ったような雰囲気をまとったローファイな質感の音を基調にしたブレイクビーツ/ヒップホップが中心です。
みんなが寝静まった夜に一人小さな音で……。これはそんな風にして聴くべき作品なのかもしれません。夜露に濡れたかのごときしっとりとした質感の音が、リリカルなメロディを奏でる瞬間がなんとも心地よく感じられます。
この作品には30曲入っているので、こんなにたくさん入っていたらどれから聴けばいいのか分からないよ、という方は以下の曲から聴いてみてはいかがでしょうか。個人的にお気に入りの曲を曲順にピックアップしてみました。
①1曲目「Balmy」
②4曲目「dreamer」
③11曲目「how many stars are there」
④19曲目「Green Hair」
⑤21曲目「Mad[e] tht^」
2016年9月8日
リリカルでユーモアがあって、そして何だかファニーなインストゥルメンタル・ヒップホップがたまらない ~Everyday life By matatabi~
いやー、それにしてもこの感性ときたら、まったく素晴らしい! 大好きです、この感じ! というのは日本人ビートメイカー、matatabiの「Everyday life」なる曲と映像のこと。
ヌジャベスに通じるリリカルな雰囲気を漂わせる、ジャジーでソウルフルなインストゥルメンタル・ヒップホップでありながら、どこかすっとぼけた(ホメ言葉です)ところがあるのがたまらなくいい! そして映像はと言えば、これどこから持ってきたのと言いたくなる昭和の映像。
この曲と映像の絡み合いが聴き手を切ない気持ちにさせます。……だけれども、ユーモアがあって何だかファニー。これはこの人にしか出せない、独特の感覚ではないでしょうか。
2016年9月6日
低く低く……、ビートが低く沈み込んでいくブレイクビーツ ~Raw Flips 2 By emune~
emuneというビートメイカーはこれまでもこの作品にあるような、低く沈み込むビートを聴かせていました。そのビートがここではさらに低く低く……。地面にぐーっと潜り込んでいくかのよう。ここではそれぐらいロウなビートを響かせる、ブレイクビーツ/ヒップホップを展開しています。
ヒップホップにジャズやソウルのテイストをうっすらと散りばめた楽曲の雰囲気は軒並みダーク。そして妖しい……。モクモクとしたスモーキーな音の中をさまよいながら浮かび上がる、ラップやキーボードの音が聴き手の気持ちを墓場に導くように鳴り響いています。
日本人の方は映画『となりのトトロ』でよく知られている、「風のとおり道」のメロディが聴こえてくる10曲目から聴いてみてはいかがでしょうか。
2016年9月5日
サイケデリックなエレクトロニック・ポップを奏でるデュオ、ジャグウォー・マのダンサブルな新曲 ~Give Me A Reason By Jagwar Ma~
これは陽気にハジけたストーン・ローゼズか? はたまた、サイケデリックな色彩を帯びてよりダンサブルになったベックか? ……といったおもむきのこの曲はオーストラリアの2人組、ジャグウォー・マの新曲でございます。
2016年10月にリリースする新作アルバムに収録されている曲らしく、先行してアップされていました。この路線でアルバムが作られているのであれば、前作と同じくサイケデリックなエレクトロニック・ポップが中心になっていそう。そして前作よりもダンサブルかも?
2016年9月4日
1週間の、そして1日の終わりはこのヒップホップで…… ~BeatPete - Vinyl Session - Part # 67 - KingUnderground Special~
1週間の終わりにこのレイドバックした雰囲気の音楽はいかがでしょうか。ドイツのヒップホップDJ、ビートピートがヴィンテージ感のある音を基調にした、心地よいヒップホップを聴かせてくれています。この人のDJミックスはいつも素晴らしい!
ビートピートが定期的にアップしているDJミックスで、これが67回目。今回はキングアンダーグラウンドなるレーベルの音源をミックスしているようです。内容はいつも通り、ソウルフルでジャジーなヒップホップが中心になっています。
フンワリとしたやわらかいリズムの上に踊るようにピアノが乗り、クールにホーンが乗っていく、そしてラップは軽やかに……。約26分の短めの音源なので、サラッと聴けます。これの倍以上の長さのバージョンもありますが、まずはこちらからどうぞ。
2016年9月2日
チェット・ベイカーのセクシーな歌声がジャジーなブレイクビーツの上で踊る ~I fall in love, too easily By Caleb Belkin~
先日取り上げたこのDJミックスに収録されていて気になったので、チェックしてみた曲です。作者はCaleb Belkinというアメリカのビートメイカー。
この曲のオリジナルはフランク・シナトラ。チェット・ベイカーなどの数多くのアーティストが過去にカバーしているようです。これはチェット・ベイカーのバージョンに手を加えたもので、こじゃれたジャジーなブレイクビーツに仕上げています。
手を加えたとは言っても、原曲にそれほど手を加えていないシンプルな作り。チェット・ベイカーのなまめかしい歌声と、ヒップホップのビートメイカーらしいスカスカのビートを絡み合わせています。ピアノとトランペットの響きがセクシー!
※チェット・ベイカーのバージョン
※フランク・シナトラのバージョン
2016年9月1日
ヒップホップのアウトサイダーによる、刺激に溢れたサイケデリックなインストゥルメンタル・ヒップホップ ~S U I Q A By KABEYAM~
今日は9月1日。8月が終わると夏が終わったような気になります。それだけにこの記事は昨日アップしたかった……。というのも、この作品のタイトルは『S U I Q A』=“スイカ”。スイカはやっぱり夏のものですから。夏の雰囲気がある間にアップしたかったのです。
とは言っても、これ、音に夏っぽいところは……、ありません。ここにあるのは“今年のスイカは天候に恵まれまして、非常に味がよくできあがりました”という音声から始まる奇妙な、そしてサイケデリックなインストゥルメンタル・ヒップホップ。日本人ビートメイカー、カベヤムの作品です。
軸はたしかにヒップホップ。でも、ダブ、ソウル、ジャズ、エレクトロニカ、サイケデリック・ロック……などといった音楽が至るところに織り込まれ、いろいろな音が飛び出してきます。さらには昭和の時代を思わせる音をさりげなく挿し込み、時代をも逆行してみせています。
これはまるでマッドリブのごとき奇天烈ぶり。どの音楽に近い感覚を覚えるかと言ったら、マッドリブの音楽でしょう。いい意味でヒップホップのビートメイカーらしくないというか、ロック・バンドだとかジャズ・バンドだとかをやっている人が作ったような、ヒップホップの中心から離れたところで鳴っている音楽に聴こえます。
インストゥルメンタル・ヒップホップの作品でありつつ、ダブやエレクトロニカの作品と同じものとして見ることもできそう。ジャンルをまたぎ、時代を逆行する、ヒップホップのアウトサイダーによる音楽?
そして聴き進めていくごとに忍び寄ってくる、深い森の中に導かれていくような、深い沼に足を絡め取られるような、そんな感覚がたまらなくいい! 刺激的な音が深~いところに連れて行ってくれます。
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