2016年1月31日

いまぐらいの寒い季節にぴったりのアンビエントのDJミックス ~'Spheria' Ambient Classical Mix (Tribute)~


一面雪景色……、そんなところに差し込むほんのりとあたたかい光……。……なーんてことを思わず言いたくなる、素晴らしいアンビエントのDJミックス。冷たい、しかしあたたかい、この絶妙の質感の音が心地よい空気を生んでいます。

作者はおそらくSpheriáなるドイツ・ベルリンのクリエイター。使っているほぼすべての曲がこのSpheriáのもののよう。おだやかなシガー・ロス?といった感じの曲が並んでいます。

鳥のさえずりやオルゴールのような音を織り込んだストリングスをバックにしたピアノのメロディが実に美しい。おごそかとも言えるこのピアノに心を奪われる瞬間が何度か訪れます。このDJミックスは夜寝る前にきっといい気持ちにしてくれるはず。



Tracklist:

00:00 Spheria & Mothica - Visions
03:28 Sorrow - My Love (Spheria's Ambient Rework)
05:49 Spheria - Otjanbird Pt. III
07:46 Spheria - Serena
10:33 Spheria - Otjanbird Pt. IV
13:09 Spheria - Skogur
15:38 Spheria - Otjanbird Pt. I
18:30 Spheria - Don't Forget Me
21:57 Spheria - Otjanbird Pt. II
26:31 Spheria - Moon Serenade
29:51 Spheria - Fly Away When The Fog Settled Down
33:17 Spheria - Autumn Kisses

2016年1月29日

ヌジャベスのリリカルなメロディを受け継ぐビートメイカーによる新作 ~Seasons By Yuheht~


ヌジャベスゆずりのリリカルなピアノのメロディを響かせた『Modal View』を昨年2月にリリースしたフランスのビートメイカー、Yuhehtの新作です。かわいらしいジャケットと冒頭で聴こえてくるかき鳴らされるギターの音が、前作にはない要素のように感じたので、最初に聴いたときはだいぶ変わった印象を受けました。

聴き進めていくと、ギターの割り合いが多いことに気付きます。5曲中3曲はギターを中心にした曲。インストゥルメンタルのヒップホップという基本のスタイルは変わらずとも、前作でヌジャベスを思わせるピアノを中心にした楽曲を作っていたことを考えると、これは大きな変化です。

それでも前作にあった繊細さやリリカルな雰囲気はしっかりと残っていて、昔のなつかしい思い出を思い出させる……とでも言いますか、心の奥をほじくられるような心地よさを覚えます。この新作もいい!



2016年1月28日

OrionAnakarisによるクールでラグジュアリーなリミックス集 ~OrionAnakaris By Orion Flips & Remixes~


ヒップホップレーベル、HardJazz7を主宰するビートメイカーのOrionAnakarisがこれまでに制作したリミックスがひとつにまとめられていました。ディアンジェロやバハマディアの曲をリミックスしています。

ヒップホップのタフさを残しつつ、フューチャー・ソウルやフューチャー・ジャズの甘さを注いだ、といった感じでしょうか。そんな曲が並んでいます。弾力のあるビートが心地よく、華やかなポップな音も聴かせます。どの曲もかっこよくて、そしておしゃれ。



2016年1月27日

ヒップホップ・ミーツ・ブルー・アイド・ソウル? ~Easy Love By Tom Misch & Carmody~


イギリスのマルチ・インストゥルメンタリスト、Tom Mischがサウンドクラウドに新曲をアップしていました。この人はインストゥルメンタルのヒップホップを作るクリエイターだと思っていたら、この曲は歌モノでした。

ビートの質感にヒップホップっぽさを残した、ソウルというより、ブルーアイド・ソウルという方が近いかなと思わせる、クールな歌モノに仕上げています。少し冷たい印象を受ける男女のヴォーカルがかっこいい!



2016年1月26日

ローファイな質感のビートが心地よいビートテープ ~al dente vol​.​1 (beattape) By smuv~


ユルさがたまらないインストゥルメンタルのヒップホップです。聴いていると、ウトウトしてきそう。作者はドイツのビートメイカー、smuv。ヒップホップの中にジャズやソウルのテイストを溶かし込んでいます。

古いカセットテープの音を聴いているかのような、いい具合に脱力したモクモクとしたくぐもった音がいい感じ。この音がゆったりとしたテンポで流れ、これを聴いている間は時間の流れが遅くなる感覚を覚えます。

ところで、タイトルにある“アルデンテ”というのはパッと作ったということなのでしょうか? そう考えて聴くと、サラッと作った雰囲気がなくもないような……。



2016年1月24日

寂れた都市を描くビート ~GOD IN YOU By cram3324moevius~


日本人ビートメイカー、Cramのこの作品がリリースされたのは昨年……。2015年の9月です。ここに書くのがだいぶ遅くなった感があります……。

Cramの新作が今年の3月にリリースされるというので、この作品を改めて聴いてみたら独特のヤサぐれ感やワルっぽさ、そして妖しげなダークかつサイケデリックな色彩を帯びた音色はやっぱり魅力的。というわけで、今日取り上げました。

つんのめるような、もしくはモタつくような、微妙にユラめく酩酊感のあるリズムを刻む太いビートと、ザラついた質感の電子音が絡み合う、サイケデリック・ヒップホップ……といった感じでしょうか。

殺伐とした寂れた都市を見ているかのような荒く冷たい雰囲気がかっこいい! こういう音楽はイライラしたときに聴くとよかったりして……。



2016年1月23日

ヒップホップをそれほど聴いたことがない人にも? そういう人にこそ? オススメしたいDJミックス ~The Three cornered world vol.2 By matatabi~


アンダーグラウンドの空気を漂わせながら、それでいておしゃれでポップでもあるヒップホップのDJミックス。作者は日本人ビートメイカー/DJのmatatabiです。

ソウルやジャズを下敷きにした、ニュートラルなテンションのヒップホップが中心になっています。奇をてらったところのない作りであるからこそ、どんなときに聴いても落ち着かせてくれると言いますか、楽しめると言いますか。そんな作りです。

ジャジーなこじゃれたフレーズやソウルゆずりの流麗なホーンのフレーズをところどころに挟み込んで、タフなラップを聴かせて、最後まで気持ちよく聴かせます。曲と曲のつなぎもスムーズで気持ちいい。

アンダーグラウンド・ヒップホップ、あるいは90年代のヒップホップが好きな人は好きになりそう。その手のヒップホップが好きな人は、こういうのはいつ聴いてもいいよねーと言いながら聴けるのではないでしょうか。

また、ポップで奇をてらったところがないからこそ、ヒップホップをそれほど聴いたことがない人にもオススメです。

それとこれ、タイトルに“Vol.2”とあるということは“Vol.1”もあるということ? あるのならVol.1の方も聴きたい!



2016年1月22日

妖しげな場所へと誘うサイケデリック・ヒップホップ ~florelush (mix) By SILA PTAHI~


ロンドンのビートメイカーと思われる、SILA PTAHIなる人物がサウンドクラウドにアップしている音源。これがいい感じ。タイトルに「mix」とあるので、DJミックスなのだろうと思います。

基本的にはサイケデリックなヒップホップ、もしくはビート・ミュージックといった感じです。下に下に潜り込んでいくようなビート、そして未開の地へと誘うような妖しげな雰囲気がいい!



2016年1月21日

DJ・ミツ・ザ・ビーツによるファンキーでグルーヴィーでソウルフルなDJミックス! ~Hyp 252 By DJ Mitsu the Beats~


日本人ビートメイカー/DJのDJ・ミツ・ザ・ビーツがとてもかっこいいDJミックスをアップしていました。この寒い時期に体をあたためてくれそうな、ホットな音楽を聴かせてくれています。

ファンキーなブレイクビーツものからスタートして、ファンクやディスコ・ファンクに流れていくという作り。基本はファンクです。ヒップホップの作り手らしい厚みのある低音域の音が何とも気持ちいい!

アッパーすぎない、軽く体を揺らすのにちょうどいい絶妙のノリがばっちり決まっています。橋本徹氏監修のフリー・ソウルに通じる気持ちよさ。程よく大人びたシブい雰囲気があるのも、これまたいい。



2016年1月20日

ヒップホップ好きもハウス好きもまとめてどうぞ ~Orikami & Friends Compilation By Orikami Records~


これまでにほぼ1曲ずつというペースで作品をリリースしてきたフランス・パリのレーベル、Orikami Recordsからコンピレーション・アルバムがリリースされました。これまで1曲ずつぐらいの作品をリリースしていたので、こういうフル・アルバムのサイズの作品がリリースされるのはうれしいです。

このレーベルの作品が好きな人はきっと好きになる、ジャジーなヒップホップやゆったりとしたテンポのスローなディスコ・ファンクが中心です。こじゃれたフレーズがところどころで出てきてとてもいい感じ。

ヒップホップのDJでもハウスのDJでもかけることができそうな曲?というのかな、そんな曲が並んでいます。というわけなので、ヒップホップ好きの人も、ハウス好きの人もぜひ聴いてみてください。



2016年1月11日

ソウルフルでジャジーな味わい深いブーム・バップ ~Mpc Vs Tape Deck (Pure K7 sound) By Mz Boom Bap~


少し前から気になっていたポルトガルのM.Z. Boom Bapなるビートメイカーがかっこいい音源をアップしていました。名前にブーム・バップとあるだけあって、やっぱり音はその音。ブーム・バップです。

生音の質感を残した、ブワッとした太さのあるドラムがいい感じ。そしてソウルフルなサックスや華麗に鳴り響くジャジーなピアノのフレーズがクール! ブーム・バップはもちろんのこと、ソウルフルあるいはジャジー、そんなヒップホップが好きな人は聴いてみてください。



2016年1月10日

星が輝く夜には…… ~Strawberry Light By Blackbird Blackbird~


穏やかな心地よい夜を演出してくれるドリーム・ポップ……、といったところでしょうか。サンフランシスコを拠点に活動するクリエイター、ブラックバード・ブラックバードの新作です。新作とは言っても、新曲を収めたものではなく、未発表曲やリミックスをまとめたものとのこと。

聴き進めていくごとに夜が深くなっていくように、曲調がより深く穏やかになっていく印象を受けます。4つ打ちのダンサブルなリズムになっても、クラブのダンスフロアで鳴っているダンス・ミュージックにある躍らせる感覚よりも、ダンスフロアとは反対の方向に行くかのように、チルアウトさせる感覚が強いのが特徴。

この作品にはディープ・ハウスであったり、ドリーム・ポップであったりする曲が収められていて、どの曲でもチルアウトさせる感覚を失わないのがいいところ。星が輝く夜に聴きましょう。



2016年1月6日

日本のヒップホップ・シーンを代表する2人によるコラボレイト作品 ~BUDABROSE By Paxico Records~


皆さま、あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします! 早いもので正月休みが終わりました。今年は短かったですね。いや、まあ、これぐらいがいいのではないでしょうか、あまり長すぎると、アレですから。

2016年になってわたしが最初に買ったCDはゴクー・グリーンの『ホテル・マリフォーニャ』でした。静岡のタワーレコードで試聴したら、ダーティな甘さみたいなものにヤラれてしまい、その場で買いました。ちなみにレコードはまだ買っていません。

というわけで、2016年になって1回目の記事です。今回は日本人ビートメイカーのブダモンクと、カナダ出身のビートメイカーであるフィッツ・アンブローズのコラボレイトによる作品を取り上げます。

フィッツ・アンブローズは日本人MCのスラックなどにトラックを提供していて、この人物がブダモンクとコラボレイトとくれば、どうしたって期待してしまいます。そして聴いてみたら、その期待などどこ吹く風とでもいったように、違う世界に連れて行ってくれるトリップ感のある音楽を展開していました。

太いビートが宙を漂う煙のように揺らめき、その上にフューチャー・ソウルとオールドスクールのヒップホップを同じくらいのバランスで混ぜ合わせて、ダウンテンポとチルアウトに落とし込んだ(?)ウワモノのサウンドが気だるく乗っていく……という作りのビート・ミュージックが中心です。

ソウルから拝借した甘さとヒップホップらしいワイルドさを、いいあんばいにブレンドしているのが何よりもいいように思います。心地よい酩酊感と穏やかな刺激が交互に訪れては去っていく、そんな作品です。