The Day's Sounds, The Day's Words
2021年1月31日
冬の空の下で ~Passing / Summer Clouds, Seeweeds By Suda Norihito~ (2020, 2019 Release)
澄み切った美しい空気のようなアンビエントを2作品。一面真っ白の雪景色にはこんな音楽が合うような気がします。ゆえに冬に合いそう(取り上げた作品の中の1曲は「サマー・クラウズ」という曲名ですが……)。どちらも日本のクリエイター、スダ・ノリヒトによる作品です。
とにかく美しい、どこまで行っても美しい音楽を聴くことができます。アンビエント好きの人はぜひ聴いてください。聴き終わった後、心が洗われる感覚を覚えます。
Passing / Summer Clouds by Suda Norihito
Seeweeds by Suda Norihito
2021年1月29日
最高の才能たちによるダブ・アルバム ~Heavy Rain By Lee "Scratch" Perry~ (2019 Release)
2019年にリリースされたリー・ペリーのアルバム『レインフォード』のダブ・アルバム。ペリーとエイドリアン・シャーウッドが組んで作ったというのだから、悪いはずがないです。そして過去にペリーの作品に参加したトロンボーン奏者、ヴィン・ゴードンも参加したとのことで、これはもう鉄壁の布陣と言っていいのではないでしょうか。
宙を舞うギターやシンバルを繋ぎとめるように鳴るドラム、鮮やかな色彩を加える管楽器、不思議な響きに歪められた電子音……。それぞれの音が様々な方向に散りばめられ、しかし緻密な計算のもとに配置されたかのよう。音は揺れに揺れて、聴き手の心は異世界へ……。いやー、本当に素晴らしい! こういう作品を作ってしまうから、ペリーはずっと特別な存在なのでしょう。
Heavy Rain by Lee "Scratch" Perry
2021年1月26日
甘くメロウなギター・インストゥルメンタル再び ~COVERS 10 By Justice Der~ (2020 Release)
この甘くメロウなギターの響きにはやはり抗えません。空間系のエフェクトをかけた、きれいなギターの音が宙を気持ちよさそうに泳いでいます。アメリカのジャスティス・デアなるクリエイターによる、以前、このブログで取り上げた
『カヴァーズ・9』
の続編です。
スタイルは変わることなく、ジャズやフュージョンのギタリストが作るアンビエントといった趣のインストゥルメンタル。伴奏のギターと主旋律を奏でるギターの2本で構成されていると思われる曲が並んでいます。静かな部屋で聴きましょう。心がとろけます。
COVERS 10 by Justice Der
2021年1月24日
美しい色彩の電子音におぼれて ~Sixteen Oceans By Four Tet~ (2020 Release)
多くのメディアで取り上げられていたり、高評価を受けていたりすると、このブログで取り上げる必要もないかなと思って、書くのをやめてしまうことがあります。イギリスのクリエイターであるフォー・テットことキエラン・ヘブデンが2020年にリリースしたこの作品も、そんな作品のひとつです。
ここで展開されるのは様々な色彩のきらびかやな電子音が舞い落ちる、ミニマル・ハウスやエレクトロニカからアンビエントを軸にした、ため息が出るほどに美しい電子音楽。これまでのフォー・テットの歩みを凝縮したかのようにドラマティックな展開が何度も押し寄せ、心は幻想の世界へと導かれます。
数年後、代表作と言われるようになるかもしれない作品。これからフォー・テットの音楽を聴いてみようという人にもちょうどいい作品だと思います。
Sixteen Oceans by Four Tet
2021年1月20日
世界をさすらうユルいファンク ~Mordechai By Khruangbin~ (2020 Release)
ちょうどいい湯加減の温泉に浸かっているような心地よさを覚えるユルいファンクが中心。オリエンタルというか、エキゾチックというか、そんな雰囲気も全編に流れています。……といったような音楽を展開するアメリカ・テキサスの3人組のバンド、クルアンビンの作品です。
この3作目にして初めてほぼすべての曲にヴォーカルを入れたとのこと。ユルいファンクを軸にしてソウルやダブ、古めかしいクラシックなロックなどをゆらゆらと揺らめくように行ったり来たりしています。ワールド・ミュージックとも言えると思いますが、では、どの国の音楽なのでしょうか?
Mordechai by Khruangbin
2021年1月19日
パーティの終わりに、一日の終わりに ~We Will Always Love You By The Avalanches~ (2020 Release)
オーストラリアのグループ、アヴァンラチーズの3作目のアルバム。2000年にリリースした1作目で展開したのがハウス/ブレイクビーツ/エレクトロニカ/ボサノヴァ/ヒップホップ/ソウル/ファンク……などを混ぜ合わせたカラフルな音楽だとしたら、ここで展開するのはそれらの音楽をしっとりと落ち着かせた、色で表すならば深い藍色の音楽です。
夜が更けていくとき、眠りに落ちるときを音で描いたような、まどろむようなドリーミーな曲が並んでいます。ゲストが多数参加し、4つ打ちのリズムや派手なラップを混ぜつつも、全編を埋めるのはゆったりとたゆたう音と歌。この3作目で、1作目で始まったパーティを終わらせたのかもしれません。最後に終わりを惜しむようなムードを残して終わるのがたまらなくいいです。
2021年1月15日
暗闇の中で静かにきらりと輝くディープ・ハウス ~EP1 By ISOLA~ (2020 Release)
聴き手を暗闇に引きずり込んでいくようなディープ・ハウス、もしくはエレクトロニカ? そんな音楽を展開する、アメリカのクリエイターであるイソラの作品です。ディープ・ハウスと言い切れるほどダンス・ミュージックっぽくもないし、エレクトロニカというのもちょっと違うような……、という感じで何ともカテゴライズしにくい音楽を聴かせています。
ちらりとダンサブルな展開を見せ、ちらりと歌を聴かせ、ちらりときらびやかな電子音を散りばめる……。ダンス・ミュージックに近づきつつも、そこには入りこまずに自らの独自のスタイルを築き上げていく、その結果生まれた音楽であるかのようです。ディープ・ハウスとエレクトロニカのあいだで静かに輝く電子音楽。
EP1 by ISOLA
2021年1月13日
クールという言葉はこの音楽にこそ使いたい ~i can't go outside By Channel Tres~ (2020 Release)
低音域の音がしなやかに力強く躍動するディープ・ハウス風のトラックの上にボソボソとつぶやくようなラップともポエトリー・リーディングとも、どちらとも取れる歌唱法で放たれる言葉が乗っていく……。このさまがたまらなくクール! クールな音楽が好きなヤツは聴いてくれよ!と言いたくなります。
そんな曲たちが並ぶ本作はアメリカのクリエイターであるチャンネル・トレスによる作品。ヒップホップとハウスという黒人が生んだ素晴らしい音楽の素晴らしいところを凝縮したような音楽を展開しています。ヒップホップとハウスが結びついた最高の結果のひとつと言っていいでしょう。
2021年1月7日
遠い昔を描く電子音楽 ~Selected Works 2010-2015 By Patrick Ellis~ (2020 Release)
やんちゃでかわいらしく、それでいて落ち着いていて穏やかな、シンセ・ポップやドリーム・ポップに近いところもあるエレクトロニカを収めた作品。全曲インストゥルメンタル。作者はアメリカ・ニューヨークのパトリック・エリスというクリエイターで、これまでに制作した曲をまとめたものです。
全編に牧歌的なのんびりとした雰囲気が漂い、時間がゆっくりと流れていくかのよう。音にはアンティーク家具のようなあたたかみがあり、遠い昔の田舎の風景を頭の中に描きます。聴いている間、聴き手をそっとあたたかく包み込んでくれる音楽です。
Selected Works 2010-2015 by Patrick Ellis
2021年1月5日
心はおだやかな南国のリゾート地へと ~Cosmic Shift By Lexx~ (2020 Release)
2021年、あけましておめでとうございます! 今年もどうぞよろしくお願いいたします。2021年になって初めて投稿するこの記事ではバレアリックをベースにして、ネオ・ソウルやレゲエ/ダブ、シンセ・ポップを混ぜたような音楽を展開する、スイスのプロデューサーであるレックスの作品を取り上げます。
色気のある歌のメロディはネオ・ソウルを、重心の低い低音域とゆったりとしたテンポはダブを、きらびやかな電子音はシンセ・ポップを、それぞれ思わせます。聴き進めていくうちに脳内に描かれるのは、南国のリゾート地で静かな夜を過ごしているような感覚……。
半数以上をヴォーカル・トラックが占め、音の心地よさと共にきれいな歌声とメロディを堪能できます。おだやかな心地よい空気が流れる作品。聴いているあいだ、そして聞き終わったあとは心をスッと落ち着かせてくれるはずです。
Cosmic Shift by Lexx
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