2020年12月30日

ダブの名盤、スーパー・エイプが2017年にリリースされていたら…… ~Super Ape Returns To Conquer By Lee "Scratch" Perry & Subatomic Sound System~ (2017 Release)


レゲエやダブの名盤ガイドに必ずと言っていいほど取り上げられる、リー・ペリーが1976年にリリースした『スーパー・エイプ』。これはその作品を、ペリーが自身のツアーに同行するニューヨークのサウンドシステムであるサブアトミック・サウンド・システムと共に作り直したものです。

作り直したというのが正しい表現なのか分からないので、調べてみたら、レコード店やメディアの説明ではリ・ワーク、リ・イメージという言葉を使っていました。私は1976年の音を、これをリリースした2017年当時の音にアップデートすることを試みた作品なのではないかと、そう解釈しています。

彩り豊かな音や少し妖しげな雰囲気はそのままに、低音域はずっしりと重たくなり、これから『スーパー・エイプ』を聴こうとしている人は本作から聴いた方がいいかもしれません。妖艶かつたくましい、アリ・アップのヴォーカルが響く「アンダーグラウンド・ルーツ」はやっぱり好きです。

2020年12月29日

夢心地の時間をあなたに ~Truth or Consequences By Yumi Zouma~ (2020 Release)


夢心地の時間を与えてくれる、ニュージーランドのドリーム・ポップ・バンドであるユミ・ゾウマの3作目のアルバム。1980年代のポップスやソウルを加えたドリーム・ポップ、シンセ・ポップというスタイルは何も変わらず、うっとりとした気持ちにさせてくれる音楽を聴かせてくれています。

女性シンガーの透き通った美しい歌声、すっきりとした甘さを持った歌のメロディー、上質な絹のように滑らかな演奏……。ここにはこれらが揃い、これだけ揃えば、そりゃあ素晴らしい歌が並ぶアルバムになるでしょう。3分台の曲が中心で、それぞれの曲の3分の中に夢の時間がある、そんな作品です。



2020年12月22日

ネオ・ソウルとギター・ポップ、ドリーム・ポップを絡めて ~In My Mind By Joe Layne~ (2020 Release)


やはり何と言っても1曲目「ビコーズ・ディス・イズ・ハウ・ウィ・リヴ」でしょう! まずはこの曲から聴いてみて!と書かずにはいられません。ラップと歌を行き来しながら、ほんの少し切なさを漂わせる気だるげな歌声、そしてネオ・ソウル風の簡潔な演奏がしっかりとハマっています。

と、そんな曲から始まる本作はジョー・レインという韓国のアーティストによる作品。音楽のスタイルはネオ・ソウルを基調にして、ギター・ロックやドリーム・ポップのテイストを少し加えたという感じでしょうか。1曲目と似たテイストの曲が続きます。詩はおそらくすべて英語だと思います。

カッコつけ過ぎないカジュアルな雰囲気、若者らしい茶目っ気、そしてこじゃれたところがあるのがいいところ。自分の身近にある、自分の生活と共にある音楽であるかのよう。サチモスが好きな人は好きなりそうです。





2020年12月19日

この国籍不明のダンス・ミュージックはどこへ行く? ~Giuseppe Leonardi By MenteMente~ (2020 Release)


パッと聴いて、不思議な印象を受けるのは中近東っぽい雰囲気を漂わせているからなのでしょうか……? この不思議な雰囲気はクルアンビンの音楽にも通じるような……? そんなことを思わせるサイケデリックなバレアリック・ハウス、もしくはシンセ・ポップと言えそうな音楽です。

作者はオーストリア出身のジュゼッペ・レオナルディなるクリエイター。ベースとシンセサイザーが不穏な空気を生み出し、聴き手を未開の地に連れて行くかのようです。時おり差し込まれるヴォイス・サンプルもこれまた不穏。どこから生まれたのかよく分からない、国籍不明のグルーヴがウネっています。

2020年12月15日

ギター・ポップとシンセ・ポップの間で揺れるサウンド ~Night Time By Dook Walt Jr.~ (2020 Release)


きらびやかなエレクトリック・ギターが鳴るギター・ポップ、そして軽くダンサブルなところもあるシンセ・ポップ。この2つを絡めたようなドーク・ウォルト・ジュニアなるアメリカ人クリエイターによる曲です。主張しすぎない少し気だるげなヴォーカルもいい感じ。

このクリエイターのフル・アルバムのサイズの作品はまだないようなので、リリースされたらここで取り上げようと思います。また、この曲をリリースしているフランスのフランスのナイス・ガイズというレーベルからもいい曲がたくさんリリースされているので、こちらもチェックする必要がありそう……。

2020年12月13日

心は南へ、南の国の夜へと誘うバレアリック・ハウス ~Warm Nights By Reuben Vaun Smith~ (2020 Release)


寒い冬の夜に聴いても、南国のあたたかい夜を運んできてくれそう……。プロのサッカー選手だったというイギリスのクリエイターである、ルーベン・ヴォウン・スミスがこの作品で展開するのは、そんなことを思わせるゆったりとしたテンポのバレアリック・ハウスです。

心地よい華やかな雰囲気と解放感に溢れ、南国のリゾート地の夜が目に浮かんできます。ちょっと優雅な気持ちになったり、心が軽く踊るような気持ちになったりして、いやー、気持ちいいです。個人的なベストトラックはちょっとアップテンポの7曲目「ライジング・サン」! まずはこの曲からどうぞ。

2020年12月10日

休日のジャズ・ピアノ ~Tape 3​/​Tape 4 (Full Album) By Felbm~ (2020 Release)


天気のいい休日のような、おだやかでほがらかな雰囲気がとてもいい、ピアノを軸にしたジャズ。いや、これはボサノヴァ? 大きく言うとイージー・リスニング? ……というような感じの音楽を展開しています。

フェルボムと名乗るオランダのクリエイターによる作品で、2つのEP作品をひとつにまとめたもののようです。聴いていると、笑顔で演奏する様子が目に浮かんできます。次の休日はこの作品と共にお過ごしください。

2020年12月6日

フロア仕様のダンス・ミュージックというのはこういう作品のことを言うのでしょう ~the alles By the alles~ (2020 Release)


野蛮で、野性的……。ケイタ・サノとDJレイジの2人の日本人クリエイターからなるジ・アレスによる本作では、そんなディープ・ハウス/テック・ハウスが展開されています。大地から湧き上がってきたか、空から降ってきたか何かしたような躍動感のある音が、リズムが、疾走する曲が並んでいます。

深夜のクラブのギラギラとした雰囲気、一晩のパーティにかける情熱がギュッと凝縮されていて、本能のおもむくままに野性の勘で作ったかのよう。この野性的なところ……。これがこの作品の魅力。ワルくて、そして楽しい。素晴らしいです!

2020年12月4日

こういうハウス・ミュージックはいつ聴いてもいいもの Vol.2 ~Together We Stand (Sam Tiba Remix) / Myd~ (2020 Realese)


この手のハウス・ミュージックはやっぱりいいもの……。前回の記事でも書きましたが、やっぱりいい! 今回取り上げたのはフランスのDJ/プロデューサーであるMydなる人物の「トゥゲザー・ウィー・スタンド」という曲のリミックス集。この作品でも気持ちいのいいハウスを聴くことができます。

全6曲中5曲あるリミックスの中で個人的にもっとも気に入ったのはレディオ・スレイヴのリミックスによる4曲目。冒頭からドラマティックに鳴り響くピアノとズシズシとくるバスドラムのコンビネーションが素晴らしい! ぜひこの曲から聴いてみてください。

2020年12月1日

こういうハウス・ミュージックはいつ聴いてもいいもの ~For How Long (Harvey Sutherland Remix) By Tycho, Harvey Sutherland~ (2020 Release)


しなやかで華やかなハウス・ミュージック! この手の音楽はいつ聴いてもいいものですね。とてもポップで、かつ品のあるところがいい! アメリカ人クリエイター、ティコの曲をオースラリアのクラブ・ミュージック・シーンで活躍するハーヴィー・サザーランドがリミックスした曲です。

キーボードが軽快に鳴り響き、ねばりのあるベースが全体を引っ張り、適度に甘い女性シンガーの歌声がいい気持ちさせてくれます。ふさぎこんだ心をパッと明るくして、そしてふんわりと包み込んでくれそう。