ジャジーでファンキーかつソウルフルな極上のトラックの上に、イキのいいラップが乗ったら、ほら、こんなに最高のヒップホップになりました! ……とでもいったところか? 1990年代のヒップホップが好きな人はほぼ間違いなく好きになるはず!
アメリカ西海岸の2人――MCのブルーとビートメイカーのエグザイルが届けてくれたのは、1990年代のヒップホップのヴァイブスを含みつつ、それでいてとてつもなくフレッシュなヒップホップ・アルバム。そんな本作はこんな作品(↓)のようです。
そのジャジーな風合いのビートと巧みなライムのケミストリーが各所から高い評価を集めアングラ・ヒット、その後もあらゆるフォーマットで幾度となく再発された人気盤で、'00年代西海岸アンダーグラウンド・シーンを代表するロングセラーとなった2007年発表の名作『Below The Heavens』。そのリリースから10年を記念し、ラッパー Bluとビートメイカー Exileの黄金デュオが、当時制作された40曲以上に及ぶ音源アーカイブから「ベスト・オブ・ベスト」たる14曲をチョイス&コンパイル、その名も『In The Beginning』として銘打ちアルバム化!門外不出だった完全未発表音源から、少量プレスの再発盤にだけ収録されたボーナス・トラック曲、さらには当時手売りでCD-Rのみ販売されたレアなEP『Lifted』から数曲をピックアップするなど、まさに『Below The Heavens』の番外編ともいうべき充実の内容。いわゆる「未発表コンピ」と思って侮るなかれ。2012年の2ndアルバム『Give Me My Flowers…』に続く、彼らの「3作目」として緻密に再構築された文句ナシのフルアルバムである。
過去にリリースした作品のベスト・オブ・ベストというのだから、カッコヨサはいわずもがな。やや渋めのジャジーなフレーズを用いて大人っぽいダンディなたたずまいを見せつつ、ファンキーにやんちゃにハネるリズムを大量に導入し、そしてラップは陽気で、しかしクール……。
ヒップホップの黄金期の2010年代版、あるいは黄金期を再現……、したような感のある作品。ここにあるのはヒップホップの理想郷のひとつ?
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