磨き込まれ、研ぎ澄まされた必要最小限の音。ずっしりとしたドラムと肌を切り裂く冷たい風を思わせる電子音、輪郭がはっきりとした硬質なピアノ。それらの音が交互に交錯し、それぞれの楽曲を構築しています。必要最小限の音で成り立っているからこそ、ひとつひとつの音の美しさ、激しさが際立っています。
そんなこの作品はイギリスのダブ/レゲエのシーンを切り開いたエイドリアン・シャーウッドとダブステップのシーンを切り開いたピンチのコンビによるもの。両者に共通するのはダブ。ここにもダブはもちろんあるのだけど、音楽を構築するひとつのエッセンスでしかない印象を受けます。
ダブというのも、ダブステップというのも、どちらも枠が小さい。ベース・ミュージックというか、ゴツいエレクトロニカというか、そういう音楽を展開しています。チリひとつ落ちていない汚れのない空間に音がこだまする、美しい電子音楽です。
そして冷え冷えとした空気が漂う中、後半にさしかかるあたりに配置された「戦場のメリークリスマス」のカバーがあたたかい陽だまりのような場所として、聴き手に安息をもたらしています。この構成が……、またいいんです。
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