見てはいけないと言われていた秘密の空間をのぞいてみたら、そこにはまるで童話の世界であるかのような、暗く美しい空間が広がっていた……。そんな世界を音で表現した密室で鳴るエレクトロニカといったおもむきの音楽が聴こえてきます。
本作の作者であるメトロノリはメディアではシンガーソングライターと紹介されている日本人女性。シンガーソングライター? いや、これはサウンドクリエイターでしょうと言いたくなるほど、ここには歌の要素が希薄です。
環境音めいた音やいくつかの種類のヴォイス・サンプル、切ないメロディを奏でるしっとりとした質感の電子音、奥のほうで静かに鳴るブレイクビーツ……といった音の中に、歌はうっすらと入り込んでいるぐらい。サウンド・コラージュかと思わせる作りの楽曲が並んでいます。
そしてその楽曲にはシガー・ロスの音楽にある冷たい感触と、アメツブの音楽に似た繊細さが同居し、ここにはない世界を見せてくれます。ワールズ・エンド・ガールフレンド主宰のレーベル、ヴァージン・バビロン・レコードらしい作品です。
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