2021年3月28日

ゴリラズのめくるめくポップ・ミュージックの世界 ~Song Machine: Season One - Strange Timez By Gorillaz~ (2020 Release)


やっぱり、すごい人です。デーモン・アルバーン。1991年にブラーのヴォーカルとして初めてのアルバムをリリースして、2020年にはゴリラズの首謀者としてこんなにいい曲がそろったアルバムをリリースしてしまうのですから。1曲ごとに違う表情を見せる曲たちにわくわくさせられっぱなしです。

ゴリラズのこの6作目のアルバムは「ソング・マシーン」というプロジェクトの中で1曲ずつ制作した曲を集めたという作品。シングルの寄せ集めという感じでしょうか。全曲シングルとしてリリースしていいほど、クオリティの高い曲が並んでいます。

エレクトロ・ポップ、ヒップホップ、ソウル、ファンク、ダブ……、などが整理されずに雑然と並んでいるような印象を受ける、まとまりのないところが最高に魅力的な華やかな作品。ゴリラズ、そしてデーモン・アルバーン。この人たちの作品は一生追いかけますよ……。

2021年3月24日

酩酊するビートの果てに ~XVII By Jonathan Cloud~ (2020 Release)


バンドキャンプで多くの作品をリリースしている、ジョナサン・クラウドというアメリカのビートメイカーによる作品。モヤがかかったようなくぐもった音がJ・ディラの名作『ドーナッツ』を思い起こさせる、ソウルの香りが色濃く漂うインストゥルメンタル・ヒップホップを展開しています。

深いところに沈み込んでいくビートと、ソウルの色気や甘さが混ざり合った音には突き抜けたような気持ちよさがあり、作品全体の流れもとてもいいです。曲ごとの雰囲気が少しずつ異なるので、音はあっちへ行ったりこっちへ行ったり……。そんなふうにしながら着地する酩酊感を味わえます。

2021年3月20日

イナタい電子音に包み込まれたビートがフワリと心地よく ~Kuntzo Free Beats By Kuntzo~ (2020 Release)


ヒップホップにソウルやファンク、ジャズを加えたこのインストゥルメンタルを特別なものにしているのは独特の浮遊感。……ではないでしょうか? やや古めかしい音もいい感じ! 作者はKuntzo(何と読むのでしょう?)という日本人ビートメイカーです。

エレクトロニカに通じる浮き上がるような感覚。そんな感覚を覚える曲が全14曲トータルタイム約34分の中にコンパクトにすっきりと収まっています。ひとつひとつの音を電子音がくるんでいるかのよう。

2021年3月17日

極上のダウンテンポが誘う夢の世界 ~1995 By Kruder & Dorfmeister~ (2020 Release)


ええっ、クルーダー&ドーフマイスター!? オーストラリア・ウィーン出身の2人組であるこの人たちの作品が、2020年にリリースされるとは思いませんでした。すでに活動を終えていると思っていたので、新作をリリースというのを見たときはびっくりしました。

『1995』は結成27年にして初めてリリースするアルバムとのことです。アルバムのリリースはなかったんですね……。そんなこの作品で聴くことができるのは甘くメロウでゆったりとした、高級感のあるダウンテンポ。ラウンジ・ミュージックっぽいところも少しあります。

ひとつひとつの音がじっくりと丁寧に抽出されているかのように鳴り、夜の暗闇の中にじんわりと忍び込んでいくかのよう。その重心の低いダークな音は聴き手に心地よい時間を与えてくれます。この作品と共に夢の中へ……。

2021年3月10日

暗闇の世界から聴こえてくるダブ ~Dubs & Remixes (2016​-​2020) By Babe Roots~ (2021 Release)


深いところへ、ふかーいところへ連れて行ってくれる、暗闇の世界で鳴っているようなダブ。なんでしょうか、この暗さは。なかなか出会えないほどの暗さです。メロディ、あるいはリズムパターンといったものよりも、暗い音/音色そのもので聴かせる音楽であるように感じます。

作者はイタリアの2人組、ベイブ・ルーツ。この作品はタイトルの通り、ダブとリミックスを集めたもののようです。ヒタヒタと忍び寄ってくるようなドラムの音だけで異様な空気を感じさせます。下へ下へ、深いところへ……、沈み込んでいきましょう。

2021年3月6日

ワイルドさの中に潜む和の心 ~Astriki Sofia One By Eccy~ (2021 Release)


冒頭の重厚なピアノの響きと、深くえぐるか沈み込むかするようなどっしりとしたドラムのかっこよさに、まずは惹かれます。2曲目以降もこれと似た雰囲気のインストゥルメンタル・ヒップホップが続くので、冒頭の雰囲気が好きな人は好きになるかもしれません。

作者は日本人ビートメイカーのエクシー。基本的にはヒップホップにソウルとジャズを絡めたといった感じですが、ほんのりと和のテイストがあるのが特徴であるように感じます。このエクシーらしさが約17分という短い尺の中にもしっかりとあり、このかっこよさはドープと言いたいです。