2017年8月2日
力強く飛翔する、前向きなエネルギーに満ち溢れたヒップホップ・アルバム ~ALL-AMERIKKKAN BADA$$ By Joey Bada$$~
アルバムのイントロとなる1曲目が終わって2曲目に流れた後、しばらくしてから打ち込まれる、物語の始まりを告げるかのごときドラムの音。この音が一気にクライマックスに持って行くかのように劇的な幕開けを演出し、その後はポジティブでドラマティックなトラックとラップのコンビネーションによって、ジョーイ・バッドアスの2作目「オール・アメリカン・バッドアス」の世界に引きずり込まれます。
バッドアスの1作目『ビフォー・ダ・マネー』は1990年代のヒップホップのオマージュとか言われていて、ア・トライブ・コールド・クエストやモブ・ディープ、フージーズなどを思わせる曲が並んでいました。ソウルフル、ジャジー、メロウ……、あるいはブームバップ……といった言葉で表現したくなる作品です。
そこでこの2作目。何なのでしょうか、この迷いのない振り切れた感じは。オマージュという言葉を吹き飛ばすほどに鮮やかに駆け抜ける、ヒップホップのど真ん中を正攻法のヒップホップで射抜く……、そんな作品に仕上がっています。かっこいいヒップホップというのはこういうものだろうと、そう言っているかのよう。
前述したように、とにかくポジティブでドラマティック。気持ちを持ち上げられる瞬間が何度なくおとずれます。いやはや素晴らしいです。
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