みんなが寝静まったら、イギリスの作曲家であるAntonymesのこの作品を引っ張り出してくることにしよう。冷え冷えとした静かな夜にポッと灯りを灯すポスト・クラシカル、もしくはアンビエントといった風の音楽が心をあたためてくれます。
軸となるのは荘厳と表現したくなる、重々しい空気をかもし出しながらも、いたってシンプルなメロディを奏でる繊細なピアノの音。ところどころで聴こえてくる打楽器や弦楽器、そして電子音や人の声はピアノの繊細さを損なわぬよう、さりげなく挿し込まれています。
小難しく、難解になることがないので、楽曲が描き出す美しい世界の中にスッと入って行くことができます。その美しい世界というのはジャケットにあるような退廃的な美しさ。でも、実はその美しさは、退廃の先にある再生した世界を描いた末に生まれたものではないかと……、ここにはそんな希望めいたものがあるように感じました。
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