2021年4月27日

個人的な日記のような趣の楽曲集 ~The Lo-Fis By Steve Lacy~ (2020 Release)


1~2分台の曲を中心にした、曲の断片だけを集めたような作品。アメリカのインディ・ロックにも結び付きそうなソウルが15曲収められています。作者は多くのアーティストの作品に関わるプロデューサーであり、ジ・インターネットのメンバーでもあるスティーヴ・レイシー。

作りはとにかくラフ。すべてレイシーが高校生の頃に作った曲のようです。全15曲が思いつくままに転がり、展開していきます。散文のような曲、散文のような作品……、でしょうか。

2021年4月22日

春のあたたかな日差しを音で表現したら ~69 By Wilson Tanner~ (2016 Release)


ほどよい緊張感とほどよいユルさがいいバランスで混ざり合った心地よいアンビエント。とてもいい気持ちにさせてくれる音楽です。静かな部屋の中に差し込む、あたたかな日差しのような音が聴こえてきます。体はふわふわと浮き上がりどこかへと……、行ってしまいそう。

そんな本作はアンドラス・フォックスという名義で活動するアンドリュー・ウィルソンと、イレブンティーン・エストンという名義で活動するジョン・タナーの2人よるプロジェクトの作品。2人ともオーストラリア・メルボルンのシーンをけん引する人物のようです。

2人で向かい合って演奏しているような親密な空気を感じさせ、それが本作の心地よさにつながっているように感じます。ウィルソン・タナーの箱庭世界へようこそ、とでもいったところでしょうか。

2021年4月18日

夢心地のダウンテンポ ~Finds You Well By Khotin~ (2020 Release)


ジャケットの写真が若干チープなら、音も同様に若干チープ。その音が心地よく響く、ドリーミーなダウンテンポやアンビエントを展開する、カナダのコーティンというクリエイターによる作品(全曲インストゥルメンタル)。これが通算4作目とのことです。

リラックスした……、というか、完全に力の抜けた音がまどろむように、たゆたうようにゆったりと流れていきます。ダウンテンポとアンビエント、ドリーム・ポップが手を取り合って微笑んでいるかのよう。幸せな気持ちにさせてくれる音楽です。

2021年4月12日

愉快に、メロウに、踊るように、まどろむように ~Off Nights By Lee Clarke~ (2020 Release)


ジャズ・ハウスに近くて、ブロークン・ビーツにも近い、ジャズ。そしてちょっとすっとぼけたような? いや、愉快な? そんなところもあるヘンテコなダンス・ミュージックでもあります。作者はアメリカのリー・クラークというクリエイターです。

1990年代のハウス・ミュージックを思わせる雰囲気があり、コミカルな感じがあるのも1990年代っぽい。冒頭で聴こえてくる、少しまちがえたら調子っぱずれとも思われそうなサックスの音にまずは心をつかまれます。

2021年4月9日

夏の暑い日に合いそうな、軽やかに駆け抜けるテック・ハウス ~Waiting By Hidden Spheres~ (2015 Release)


軽快に、そしてさわやかに駆け抜けていく、ジャズとフュージョンを絡めたテック・ハウス。パッと聴いてすぐに軽やかな4つ打ちのリズムに引き込まれました。イギリス・マンチェスターのヒドゥン・スフィアスというクリエイターが2015年にリリースした作品です。

アッパー過ぎず、ダウナー過ぎず、そして派手過ぎず、地味過ぎずのちょうどいいテンション。丁寧に重ねられるキーボードやヴォイス・サンプルの音数はやや少なめで、それがまたいい! 夏の暑い日にクールダウンするための音楽のように聴こえます。

2021年4月5日

ダンスフロアとベッドルームの間で軽やかに踊る ~Feelings By Brijean~ (2021 Release)


2019年にすばらしいミニ・アルバム『ウォーキー・トーキー』をリリースしたブリジーンが初めてリリースするフル・アルバム。これがもう期待通りのすばらしさ! ひとたび聴いたら気持ちは踊るように軽やかに、まどろむようにおだやかに、うっとりとするように心地よく……、そんなふうになります。

ブリジーンはパーカッショニストのブリジーン・マーフィーとプロデューサーのダグ・スチュアートからなる男女デュオ。サイケデリックでトロピカルな色彩を帯びた、ドリーミーでチルな雰囲気が満載のハウスやラウンジ、そしてドリーム・ポップといったあたりの音楽を展開しています。

ダンサブルでいて、夢心地の心地よさを味わえる音楽。にぎやかなパーティへ導くような解放感がありながら、眠りに導かれるようでもある、ダンスフロアとベッドルームを繋ぐ音楽。家で、野外で、楽しみましょう。

2021年4月2日

色気のある黒いハウス・ミュージックを存分に ~Smile By Theo Parrish~ (2021 Release)


セオ・パリッシュの作品にしては少し気の抜けたようなジャケット……。しかし音はホンモノ! これぞデトロイト・ハウス、デトロイト・ビートダウンの神髄といったところでしょうか。いつものセオ・パリッシュらしい黒い音を存分に味わえます。

下へ下へともぐっていくような重心の低い低音域と、ピアノやキーボードの色気のあるメロディが反復しながら絡み合う、長尺のハウス・ミュージックを4曲収めた作品。リリースは2021年ですが、過去にリリースしたもののリイシュー盤(?)のようです。